投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が6月27日~7月1日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円はもみあいか。23日に行われた英国の国民投票では、欧州連合(EU)からの離脱支持が残留支持を上回る結果となった。このため、リスク回避に絡んだ取引はしばらく続く可能性がある。英国の国民投票結果を受けて世界の金融市場の反応が注目される。
ただし、ドル・円の取引では米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースと日本銀行の追加金融緩和の可能性がより重要なテーマとなりそうだ。引き締めに前向きとみられていたイエレン米FRB議長は21-22日の議会証言で慎重なスタンスが目立ち、利上げペースはこれまでの年2回から年1回に鈍化する見通し。
米早期利上げ観測は大きく後退しており、29日に開催されるパネル討論会でのイエレン氏の発言はドル売り・円買いを誘発しやすい。ただし、引き締め観測の後退は、米国株を押し上げる要因となるため、米国株の動向には注意を払う必要がありそうだ。
日本銀行は4月27-28日に開催した金融政策決定会合で、金融政策の維持を決めたが、実際には追加緩和が議論されていたことが6月21日に公表された議事要旨で明らかになった。英国の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱が支持されたことから、7月28-29日に開かれる決定会合で追加緩和が実施されるとの期待が高まっている。
また、24日公表された今月15-16日の決定会合における「主な意見」でも、2%の物価目標の達成に否定的な意見が散見された。このため、7月1日発表の日銀短観が前回を下回った場合、7月追加緩和観測を後押しすることになりそうだ。
【米連邦準備制度理事会(FRB)議長の討論会】(29日予定)
イエレン議長は29日にパネル討論会に参加する予定。21-22日の議会証言では早期利上げについてやや慎重なトーンが目立った。この議会証言を受け、市場では米引き締めペースを今年2回から1回に修正したようだ。ハト派的な意見が出た場合、ドル売り要因となるが、株高を促した場合はドル買い材料となる可能性がある。
【4-6月期日銀短観】(7月1日発表予定)
7月1日に4-6月期日銀短観が発表される。このうち大企業製造業・業況判断は前回+6に対し、予想は+4と小幅に悪化する見込み。先行きについては前回同様+3と見込まれている。日銀短観の悪化は日銀の追加金融緩和への期待感が高まりやすく、前回下振れの場合は円売りに振れる見通し。
・6月27日-7月1日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。