6月9日未明、沖縄県尖閣諸島周辺のわが国の接続水域を、中国海軍の艦艇が航行した。過去に中国の公船(沿岸警備を担当する巡視船や漁業監視船などの政府機関に属する船)が、尖閣諸島周辺の領海や接続水域を航行したことは何度もあるが、中国海軍の艦艇が通航したのは初めてのことだ。今回は同じ時間帯にロシア海軍の軍艦も同じ接続水域を航行した。
まずここで、海の国際法について、整理しておかなければならない。満潮時の海岸線を基線という。基線から12海里(約22km)が領海だ。領海は、基本的に領土と同じ扱いを受ける。ここで、「基本的に」という留保をつけたのは、領海については「無害通航権」という特別の権利が船舶に認められているからだ。
領海の外側12海里に接続水域が設けられている。接続水域とは、領海ではないが、領海に近い海なので、そこを航行する船舶を停止させ、臨検する権利を沿岸国は持っている。さらにこの接続水域の外側176海里(基線からだと200海里、約370km)に排他的経済水域圏(EEZ)が設けられている。
ここでは、魚介類などの生物、原油、天然ガス、マンガンなどの鉱物資源については、沿岸国のみが開発する権利を有している。従って、中国や韓国の漁船が、日本政府の許可を得ずに日本のEEZで操業する場合は、国際法違反になる。
外国の軍隊に所属する戦車が無許可で日本の領土に入ってくれば、無条件に主権侵害に該当する。そのような戦車をただちに攻撃して、乗員を無害化(殺すこと)しても国際法には違反しない。
領土と領海の上空を領空という。領空に許可を得ずに入った外国の軍隊に属する軍用機は、領空侵犯という国際法違反を犯したことになる。このような軍用機を撃墜しても国際法違反にはならない。民間航空機が領空侵犯をした場合は、強制着陸させることができる。