ジャーナリストの上杉隆氏が東京都知事選に出馬する。上杉氏は完全極秘のなかで出馬準備を進めるなか、本誌に決意を語っていた。上杉氏の公約は、政党や都議会に利害関係がないからこそ唱えられる大胆な提言である。以下、上杉氏が語る。
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実は東京都からは年間、約3200億円もの地方法人特別税が、地方に奪われています。東京都は儲けすぎているから地方によこせということでしょうが、都民が東京のために払った都税を地方に渡すのは税の原則論からしても理不尽に過ぎる。
この法人事業税などの東京イジメの税制改悪を行なったのが、総務大臣時代の増田寛也氏でした。ある都庁幹部職員に依頼した試算では、これまでに都から奪われた法人事業税の総額は1兆2300億円にも上ります。さらに今後、五輪までに1兆2800億円もの税金が都から奪われる試算になる。
私の公約は、本来なら東京都に入るはずの税収を、都民に取り戻すことです。年間3200億円もの税金があれば、多くのことができる。
この予算があれば、石原慎太郎さんが平成29年度、つまり来年までにゼロにする予定だった約7000人の待機児童の問題も前倒しで解決でき、さらに、保育所の無料化までも実現可能です。全国からもっとも若年層が流入している東京都なのに、出生率が都道府県で一番下の1.15。東京を子育てに厳しい都市にしたのは誰なのか。
子供の声が響く都市にするために、地方に渡している東京に税金を取り戻す。少なくとも五輪までの4年間は地方法人特別税を凍結して1兆2800億円の財源を捻出する。そうした「東京ファースト」こそが私の基本的考えです。
子供を大切にすることは、お年寄りを大切にすることでもある。たとえば中央区では、お年寄りのためにバリアフリー等の対策にしたところ、ベビーカーを押す母親たちがどっと押し寄せて、8万人から13万人と人口が激増したという現実があるのです。
私は80歳の母と二人で暮らしていますが、母と毎日、話をしていると、小さな段差が気になるとか、特養の待機者とか、身近な問題点がどんどん見えてくる。