14日に告示され、ますますヒートアップしている東京都知事選。年間の予算は約13兆7000億円。これはスウェーデンに匹敵する規模。GDP換算では約1兆6000億ドルで、お隣の韓国の国全体のGDP(約1兆3000億ドル)を大きく上回る。もし東京が独立国になれば、世界ランクでは10位前後になり、いきなり“主要国”の仲間入りする。そんな東京都を束ねる都知事は必然的に大きな権力を手にすることとなる。
それほど強大な組織のトップであるにもかかわらず、「それはやっていい」「やってはいけない」と、かなり細かいことまで自分で決められるのも、都知事のすごいところ。
例えば病院や福祉施設などを開設する認可を出したり、病床数の上限を決めたりするのも都知事の権限。飲食店の営業許可や公益法人の認定も都知事が権限を握っている。そうした権限を「許認可権」と呼ぶが、都知事の許認可権の範囲は総理大臣や各省の大臣より広い。
2012年、当時都知事だった猪瀬直樹氏(69才)が医療法人の徳洲会から5000万円の資金提供を受けて事件になった。ほとんど面識がないという相手が、それほどの額をポンと出したのには驚かされたが、都知事のもつ許認可権を狙ったものだといわれている。
「徳洲会は23区内に徳洲会病院を設置するのが悲願。5000万円は都知事に病院の設置を認めてもらうための“裏金”と見られても仕方ありません」(政治ジャーナリスト)
都市開発では、道路や鉄道、空港、公園緑地、水道や下水道の整備、産廃施設、河川管理、土地区画整備事業、さらに建物の容積率や建ぺい率の決定なども都知事の権限の範疇だ。
「それらは本来、市町村長の権限ですが、東京23区については区長ではなく都知事に権限があるんです。知事と市長の権限をダブルで持っているのと同じですね。そうした権限を使えば、設計の業者から工事をする業者、建材を納入する業者まで自由に決めることも可能なんです。
石原慎太郎元都知事は、2000年に秋葉原の再開発計画を打ち出し、JR秋葉原駅前の都有地をあるゼネコンに事実上無競争で払い下げました。石原氏とそのゼネコンは深い関係にあったことから、“出来レース”だと問題になりました」(前出・ジャーナリスト)
東京都で現在進行形の案件といえば、なんといっても2020年の東京五輪に向けたインフラ整備事業だ。