1980年代、若者の“心の痛み”を代弁したカリスマ歌手の魂は、時代を超えてファンの胸の中で生きている。尾崎豊、没後24年。彼の遺した愛息・裕哉が、初めてテレビに登場した。父の代表曲を歌う彼の姿は、尾崎が乗り移ったかのように見えた。まもなく尾崎の享年を超え、「父親の分まで力強く生きたい」と語る裕哉の、知られざる“親子の絆”の物語──。
総勢88組の出演アーティストの中で、最も人々の心を鷲づかみにし、揺さぶったのは、この男だった。
7月16日、夏の特別番組『音楽の日』(TBS系)に、尾崎豊(享年26)の長男、尾崎裕哉(26才)が出演した。白のワイシャツにグレーのスラックス。ギターを背負う姿は、否が応でも父親の姿を彷彿とさせる。
「どことなくお父さんに似てきたな、と言われるようになったんじゃないですか?」
司会の中居正広(43才)が声をかけると、裕哉は神妙な顔つきで答えた。
「最近、よく言われるようになりました。大人になってからは比べることもありましたが、似ていることは素直に嬉しいです」
その後、ステージに立った彼がギターを弾き、歌い出した瞬間、会場は静まり返った。選んだ楽曲は、尾崎の代表曲『I LOVE YOU』。佇まい、歌声、呼吸…。似ているという次元ではない。
「尾崎さんの生き写しでした。お客さんも、思わず声を失うというか、魂を持って行かれた感じで。司会の中居さんも涙ぐんじゃってね。とんでもない歌手が現れたなと、スタッフも衝撃を受けていた」(TBS関係者)
無論、視聴者も騒然。《父親のDNAを完全に受け継いでいる》《歌い方がまんま憑依しているレベル》《涙が止まりません》。ネット上には放送直後から興奮の声が溢れた。
続けて歌ったのは、裕哉のオリジナル曲『始まりの街』。20才の時、母親から「お父さんがいなくてごめんね」と言われ、その時の気持ちを歌にした楽曲だった──。