国内

ネット 女はむしろ強者であるとの考え方が台頭

ネットニュース編集者の中川淳一郎氏

 ネットの世界には蛸壺化し分断された言論状況があるが、その中の一つに「女嫌い蛸壺」が存在するという。一体どんな議論が展開されているのか、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が分析する。

 * * *
 すべてがフラットなネットの世界では、人は多種多様な意見を知り、そこから新しいものが生まれる──。2000年代中盤に喧伝されたこの言説はもはやただの妄言としか言えず、2010年代中盤の今、ネットは蛸壺化された分断状況が存在する。その蛸壺の住民が隣の蛸壺を覗き、異論を述べると総攻撃をくらい、以後ブロックをしてますます交流の機会は失われていく。

 そんなネット 壺の中でも近寄りたくない界隈が「男嫌い蛸壺」と「女嫌い蛸壺」である。男嫌い蛸壺の住人は、最近はフェミニストの皮をかぶったミサンドリスト(男嫌い)である場合もあるとバレてきた。三重県志摩市の観光PRキャラ・碧志摩(あおしま)メグは、海女をモチーフとしたキャラだが、「性的な部分を過剰に強調していて不快だ」などのバッシングをくらい、作者が申し入れをした結果、公認撤回となった。

 この人たちは極端過ぎかつ攻撃的過ぎるので放置するにこしたことはないのだが、「女嫌い」の方は若干の悲哀が漂うことが多く、「そこまで女性を嫌わないでも……」と思うこともある。

 女嫌いの中にもいくつか流派はあり、一つは、レディースデーや女性専用車両などを「女性優遇で不公平だ」と主張する、過度に「男が虐げられるこの日本はクソ」と考える一派である。いや、メンズデーを作っても商売にあまり影響がないと判断した結果と、結局痴漢をするのは「男→女」が圧倒的に多いため女性車両があるので事業者の言い分も汲んでもいい。

 もう一派は、売春をした少女達の写真や体験記などを展示した「私たちは『買われた』展」(女子高校生サポートセンターColAbo主催)に反発する人々に見られる。基本的なスタンスは「なぜ女は被害者ぶるんだよ」であり、「『買われた』ではなく『売った』だろ」と主張する。これは、少女達の置かれた個別の事情は考慮することなく、「オレらは肉体労働をしても時給900円台なのに、お前らは数時間の労働で数万円を稼いでいるのに何を言うのか」という叫びでもある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
公益通報されていた世耕弘成・前党参院幹事長(時事通信フォト)
【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
週刊ポスト
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン