歯のホワイトニングとは、専用の漂白剤で歯の汚れを落とし、歯を白くする方法だ。大きくわけて歯科医で行うオフィスホワイトニングと自宅で行うホームホワイトニングの2種類がある。
芸能人のような白い歯に憧れる人が増え、ホワイトニングを取り扱う歯科も多い。しかし、昨今、「白くならなかった」「元に戻った」「歯がしみた」などのトラブルも相次ぎ、東京都消費生活総合センターがホワイトニングに対する注意喚起を行っている。
むらおか歯科・矯正歯科クリニックの歯科医、市川玲奈さんが、こうしたトラブルが起きる理由を説明する。
「患者さんと医師の間で、白さの目標が違うとトラブルになりやすいです。芸能人のような歯をイメージされるかたが多いですが、芸能人はホワイトニングではなく、かぶせものをして白くなっていることが多いので、それを知らずにホワイトニングされると、イメージと違うという話になってしまいます」
また、生まれつきの歯の性質によって、白くならない人もいるという。
「若い頃から歯の色がグレーがかっている人に、ホワイトニングは向きません。また、胎児のときにお母さまがテトラサイクリンという抗生物質を摂取した場合、その色が着色しながら歯がつくられるので、ホワイトニングには向いていません。この抗生物質が処方されることは減りましたが、現在も使用されています。こうした説明を充分にしないまま治療しようとする歯科医も決して少なくありません」(市川さん)
さらに、ホワイトニング治療中に歯や歯茎がしみて痛む、というトラブルも多い。
「薬剤を使うため、ホワイトニングを繰り返すことで、知覚過敏になるリスクがあります。稀ですが、ひどい場合は、神経に炎症を起こして歯が死んでしまうこともあります」(市川さん)
近年、自宅でできるホワイトニングキットも数多く出ており、ネットなどで簡単に手に入る。歯科医に行くより格安だと利用する人もいるが、海外の商品には注意が必要だ。