「教育の場」と位置づけられる甲子園で、その敗戦の弁は、物議を醸した。「負けたのは末代までの恥」「腹を切りたい」。6年前のセンバツ一回戦、21世紀枠の格下校に負けた島根・開星高校監督(当時)の野々村直通氏の一言。翌日の謝罪会見には、ど派手な服装で現れ、火に油を注ぐ。2日後、退任。
連日、「ヤクザ監督」と叩かれた野々村氏だが、監督復帰を望む8000人の嘆願書とともに翌年、現場復帰を果たすなど、教え子の支持は厚い。現在は教育評論家として活躍する野々村氏は、「一発のビンタが試合を変えることがる」と言ってはばからない。また、抗議に対し、萎縮する一方の指導者に大きな違和感を覚えるという。
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なぜ教師が必要なのか。それは現場がロゴスではなく、カオスだからです。現場で理論や理屈が通じないこともしょっちゅうです。周りが暴力だと言っても、そうじゃないこともたくさんある。叩いたら何でもかんでも首になるなんてじつにバカらしい。
僕は体罰賛成ではない。あくまで肯定しているだけです。教師だって、好き好んで叩いているわけではない。何もせずとも、目標に向かって生徒たちが生活してくれれば、それがいちばん。でも現場で奮闘していれば、そうではないシーンに必ず出くわしますから。
最初から叩くなんてことはないんです。何度も何度も言い含める。それでも聞かないから「貴様、あれほど言ったのに!」となる。
ただ、殴っていい子とダメな子は見分けないといけない。叩いても意味のない子とか、ひ弱な子は逆効果になる。殴られる子は、体力があって、だいたい殴ってくださいって顔してますからね。そこを見抜けるかどうかは、指導者のセンス。感性のない教師は、やはり手を出さない方がいい。
それと、いくら正論でも選手同士が手をあげたらダメ。どんな理由があっても選手同士のそれは暴力です。感情に走りやすくいじめにつながってしまう。だから生徒たちには、理不尽なことがあったらまず俺に言え、と厳命していました。