何かと世間を騒がせることも多い有名人の“2世”。親が甘やかした結果なのでは? などといわれることもあるが、そればかりではない。あまりにも厳しく理不尽すぎた阿川佐和子さん(62才)の「強父」が注目を集めている──。
阿川さんの父は、昨年亡くなった作家の阿川弘之さん(享年94)。父との思い出を綴った『強父論』(文藝春秋)が、ベストセラーになっている。
「2世問題に関しては、私はノーコメントです。各家庭によって違うし、有名人の子供だから問題を起こしがちかどうかも、わからない。だいいちお小遣いを月50万円貰っていたのを批判しても、じゃあ5000円なら立派に育つのかとなると、そうとは限らないでしょ?」(阿川さん・以下「」内同)
そう語る阿川さんは、お年玉すらもらっていなかった。
「遠い親戚のお孫さんにはあげるくせに、私にはくれなかった。ただ、父が私にくれた『七光り』には少なからず感謝しています。だって、どこの馬の骨かわからない者に『原稿を書きませんか?』とは言わないでしょう。近所のお父さんが亡くなったからって本が出るわけじゃない(笑い)。
もちろん、最初に『七光りについてどう思いますか?』と聞かれた時は悔しくて、『もっと光を』なんて言ってましたが。しかも、仕事を始めた時は、早く父のような性格じゃない人のもとに嫁ぐつもりだったから、この七光りの仕事は仮の姿だと思ってました(笑い)」
「早く嫁に行け」――これも父の口癖だったという。しかし、今はそれも変わりつつある。いつまでも娘をそばに置いておきたい父親は、子供の結婚に反対し、たとえ結婚しても、離婚も大歓迎。それゆえ恋愛の回数ばかりが増えていく。
「例えば“操(みさお)”なんて死語ですよね? 昔は守るものだと教えられてきたけれど、今では『操って何?』と言われちゃいそう。お金の話は外でしないとか、電車の中で化粧はしないとか、“恥ずかしい”“隠すべき”ところがすべて“平気”になりつつあります。羞恥心や恐れがなくなって、すべてが“ガラス張り”の社会って、なんだかつまらない、そう思いませんか?」
「荷物は自分で持てます」「トラックの運転は私のほうがうまいから」なんて言われると、男の立つ瀬がない。むしろおだてて、「ぼくが代わりにやってあげる」と言わせて働いてもらったほうが、楽になる。
「本当に賢くて強い女性は亭主を牛耳っているけれど、世間や子供の前では亭主を立てています。その方がゆくゆくは自分が得することを知っているのではないでしょうか」