コードネーム「NX」の名で長らく開発が続けられてきた任天堂の新型ゲーム機が、ついにお目見えした──。
10月20日深夜に同社がホームページ上で公開した映像には、「Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)」の正式名称とともに、グレーのBOXタイプの本体が登場。外国人の若者らが自宅でテレビにつないだり、画面がついた携帯型パーツを取り外し、移動中のクルマや飛行機などで楽しそうにゲームに興じるシーンが多数映されていた。
来年3月の発売予定を心待ちにしていた任天堂ファンやコアなゲームユーザーにとっては、一層期待が持てる発表になるものと思われていたのだが、株式市場の評価は冷めたものだった。翌日の東京株式市場で、任天堂の株価が前日比7.1%安の2万5025円と1か月半ぶりの安値をつけてしまったからだ。
市場関係者の間からは、
〈これまでにないまったく新しいコンセプトのゲーム機と宣伝されていた割には、公開映像を見る限り、ゲーム業界の流行りであるVR(仮想現実)機能に対応しているかどうかも不明で、さほど驚きはなかった〉
〈ハード機の本体価格やゲームソフトの目玉タイトルが発表されなかったので、ゲーム専用機としてどこまで人気が出るかは不透明〉
といった悲観的な声が相次いだ。エース経済研究所アナリストの安田秀樹氏は、こんな指摘をする。
「発売日がゲーム業界でもっとも繁忙期といわれる今年のクリスマス・年末商戦に間に合わなかったということもあり、当面は任天堂の主要顧客である子供やファミリー層よりも、保守的なゲームマニアに集中して売りたい思惑があるのでしょう。
そのため、紹介映像では従来のゲーム専用機の延長線上であることを強調しつつ、外出先でもモニターから切り離し可能なコントローラーで、本格的にゲームが楽しめる仕様や操作性をアピールしたのだと思います」