市川海老蔵(38才)が演じる天下の大泥棒・石川五右衛門が話題を集めている。『石川五右衛門』(テレビ東京系)は、海老蔵にとって13年ぶりの連ドラ主演作。これまで他の役者が演じた五右衛門とはひと味もふた味も違う“海老蔵五右衛門”とは? 時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんがその魅力を解説する。
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とにかく何をしても注目の男といえば、市川海老蔵である。その海老蔵が、今年はドラマと舞台で「石川五右衛門」を演じている。
五右衛門は、秀吉の時代の天下の大泥棒。『真田丸』には出番はなかったものの(個人的には出てほしかった)、大河ドラマでも、『黄金の日日』の根津甚八、『秀吉』の赤井英和などが演じてきた。日本エンタメ界の人気キャラだが、海老蔵五右衛門はさすがに一味違う。
表の顔は、京の都で評判の役者一座の座長・白波夜左衛門という顔を持つ五右衛門。実は一座のメンバーは全員が五右衛門の配下なのである。その顔ぶれは、仕掛けの名手・三上の百助(山田純大)、身が軽い情報通の足柄の金蔵(前野智哉)、おかっぱ頭で口が悪い盗人姿がキャットウーマンのような堅田の小雀(高月彩良)。彼らはいざとなると、ポーズを決め、声を合わせる。「五右衛門一家、見参だ!」
やるねー。しかも、この五右衛門。天下人豊臣秀吉(國村隼)が大事にしている茶々(比嘉愛未)と出会い、ラブロマンスに発展? 男の色気をプンプンさせる五右衛門は、「町を見たい」と城を抜け出して事件に巻き込まれた茶々を助け、手持ちの巨大凧に乗せて、ふたりで空中ランデブー。夜景観賞と洒落こんだ。大坂城へと彼女を送り届け、別れ際に「いつかあんたを盗んでやろうじゃねえか」なんてことをしれっと言うのである。