2005年に始まった大手不動産会社7社が運営する新築物件サイト「MAJOR7」の「住んでみたい街アンケート 関西圏」では、JR芦屋が2012年まで首位を独占。2013、2014年は2位になったが、2015年には再び1位に返り咲いた。
◆芦屋の地域内格差や自意識過剰に「ホンマ腹立つ」の声
芦屋が“セレブの街”として有名になったのは、1928年から開発が始まった「日本のビバリーヒルズ」とも称される超高級邸宅地「六麓荘町」の存在が大きい。江崎グリコ社長、UCC社長らそうそうたる経営者が大豪邸を構え、芸能界では、最近、天童よしみが1000坪を超える豪邸を建てて話題になった。
芦屋出身の鉄道アナリスト、川島令三さんが六麓荘町のすごさをこう語る。
「東京の田園調布なんて、六麓荘町と比べればチンケなもんです。車がないと門から家まで行けないほど広くて、庭の池に屋形船を浮かべている家まである。芦屋のなかでも別格です。かく言う私は阪神電車沿線の下町育ちで、高級でもなんでもないですが(苦笑)」(川島さん)
芦屋は人口約9万5000人、面積は自転車で15分も走れば東西に横切れるくらい狭いが、「何線沿線に住んでいるか」で大きな格差がある。
「北から阪急、JR、阪神の3路線が横切っていますが、北の“山側”ほどセレブ度が高い。高級住宅街と呼ばれるのは阪急沿線から北の山手という地域。阪神沿線は『海側』といわれ、庶民の町とされている。
『阪急信者』という言葉もあるほど阪急の乗客はお上品で、阪神のことをガラが悪いと思っており、逆に阪神沿線の住民は阪急沿線に対して『気取っている』と思っています。まあ、狭い街なので和気あいあいとやっていますが…」(川島さん)
阪神・淡路大震災の時、阪神の乗客はデイパックで、阪急の乗客はヴィトンのバッグで買い出しに行ったという都市伝説もあるほどだ。お笑いコンビ・ジャルジャルの福徳秀介(33才)は芦屋の“山側”出身。
「阪急沿線に住んでいることには誇りを持っていますね。普段東京や大阪で声をかけられる時は、『ジャルジャルの福徳やん!』って指を差されることが多いんですが、この間、実家の近所で小学生に『ジャルジャルの福徳様でしょうか。握手していただいてよろしいですか』と声をかけられたんです(笑い)。地元ながら、なんてお上品な街なんやと。まぁ、海側にはヤンキーもいますけどね」(福徳)
“海側”以上にひどい“市内格差”に晒さらされているのが、1998年から入居が始まった南芦屋浜地区の住人たちだ。ここは海を埋め立てて再開発し、市営住宅などが建ち並ぶ住宅街になっている。