芸能

日本で木下大サーカスだけが生き残ってきた理由 

木下大サーカスの木下唯志社長

 国際情報誌・SAPIOの人気連載『日本の芸能を旅する』第七回はサーカス編。ノンフィクション作家・上原善広氏が木下大サーカスの木下唯志社長のもとを訪ねた。

 * * *
 サーカスを見るのは小学生以来、実に三〇年振りだった。

 四〇分ほどのショーを見ると、ホワイト・ライオンも出る猛獣ショーから綱渡り、空中ブランコなど二〇ほどの演目が次から次へと披露される。場面転換の際の暗転も非常に早く、数十秒で次のショーが始まる。三〇年前は暗転の時間が長いため少し退屈した思い出があったので、このスピードの変化には驚いた。

 木下唯志社長も「常に進化してますから」と言う。

「感動を持続させるため、プログラム間の暗転は一秒でも早くできるよう努力しています。サーカスというのは子供から大人まで見られる『ファミリー・エンターテイメント』ですからね」

 確かにこのスピードだと、幼児でも退屈を感じさせないだろう。

「演出は、USJなども手掛けているジョン・フォックスにお願いして変化をつけました。昔のサーカスとは違うでしょう」

 私は失礼ながらサーカスについて「子供向けの時代遅れのショー」というイメージをもっていたのだが、それは完全に間違っていた。これはかなり本格的なショーであり、確実に一昔前のサーカスとは一線を画している。

 日本のサーカス団も、これほど大規模なものでは木下サーカス一つとなってしまった。最盛期には二〇団体もあったサーカス団の中で、木下サーカスだけがなぜ生き残ってきたのかは、その洗練されたショーを見ただけで納得できる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン