未解決だった猟奇的殺人事件は意外な形で終結しようとしている。2009年11月に広島県の山中で島根県立大1年の平岡都さん(当時19)の切断遺体が見つかった事件で、島根・広島両県警合同捜査本部は2016年12月20日、殺人と死体損壊・遺棄の疑いで、会社員の矢野富栄容疑者(当時33)を容疑者死亡で書類送検した。捜査関係者が言う。
「平岡さんの遺体は内臓がえぐられ、太ももは上部の肉がそぎ落とされて、足首は関節を外してから切断されていた。あまりに凄惨な事件の犯人を野放しにしてはいけないと当局は捜査に力を入れ続けてきた。
矢野が捜査線上に浮上したのは2016年の夏頃で、同年10月には矢野の家族からデジタルカメラとUSBメモリの提供を受けた。削除されていた画像を復元したところ、平岡さんと見られる遺体のほか、損壊に使ったと思われる文化包丁などの“証拠写真”が57枚も出てきた。
しかし、矢野は事件の2日後、高速道路で母親とともに事故死していたため、容疑者死亡で送検となった。死体損壊と遺棄は2012年に公訴時効が成立。殺人についても“被疑者死亡”のため不起訴となる見通しだ。その辺は悔しさが残る」
両県警の執念の捜査が実ったといえるが、事件発生から7年間という月日は、別の“被害者”を生んでもいた。