2015年5月、鳥取県に初めてスターバックスができることが新聞でもニュース番組でも大きく報じられた。それは1996年、東京・銀座にスタバが日本初上陸を果たしてから19年、47都道府県すべてで展開されることになったからだった。
落ち着いた照明の店内は全面禁煙で、ゆったりくつろげるソファ、心地良いBGMに、フレンドリーな店員――昨今のカフェブームはスタバが巻き起こしたといっても過言ではない。
そのスタバがドトールに負けたのは「顧客満足度」だった。これは日本生産性本部『サービス産業生産性協議会』が公表する顧客満足度指数JCSIで、ドトールがスタバを抑えて2年連続カフェ部門のトップになっているのだ。
『カフェと日本人』『日本カフェ興亡記』などの著書がある、経済ジャーナリストの高井尚之さんが説明する。
「顧客満足度指数JCSIとは、米ミシガン大が開発した顧客満足度指数CSIをもとに、官民協力の下サービス産業生産性協議会が開発した指標で、利用者へのアンケート調査をもとに作られています。
最新版の2016年度調査でカフェ部門の対象となったのは、『ドトール』『スターバックス』のほかに『コメダ珈琲店』『サンマルクカフェ』『タリーズコーヒー』『カフェ・ベローチェ』『ミスタードーナツ』の7店でした」
本誌・女性セブンも読者786人に「ドトールとスタバ、どちらが好きですか?」とのアンケートを行った。すると、ドトールと答えた人は226人、スタバは319人、どちらでもないは240人という結果に。圧倒的に「スタバ好き」と答えた人が多かった。それなのに、満足度ではスタバがドトールを下回る理由とはなんなのか?
◆1000円を大切に使いたい時代
まずは、「スタイリッシュ疲れ」が大きいと高井さん。
「普段遣いのカフェだったら、すっぴんに近いメイクで、部屋着でもフラッと立ち寄れますが、おしゃれなカフェだとそうもいきません。以前はスタイリッシュなカフェにがんばっていく自分も楽しめたけど、『もういいかな』と思う人が増えてきたんじゃないでしょうか。別にスタバを否定しているわけじゃなく、ただ『トールラテ、ソイミルクでお願いします』ってオーダーするのが疲れてきたのではないかと思います」
ドトール派の主婦(48才)が自嘲気味に言う。