問題の例文が全て「うんこ」ばかり、という小学生向け漢字ドリルが話題になっている。なぜそんなドリルを作ったのか。版元の出版社社長に聞いた。(取材・文=フリーライター・神田憲行)
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ドリルの名前は「日本一楽しい漢字ドリル うんこ漢字ドリル」(文響社)。こんな例文だ。
《田んぼの どまん中で うんこを ひろった。》(小学1年生)
《刀の 先っぽに うんこを つけて たたかう 男。》(小2)
《このうんこからぜったいに目をはなさないでください。》(小3)
《みんなで少しずつ分たんして、うんこを持ち帰ろう》(小6)
この調子で小学1年生から6年生まで3018の例文全てに「うんこ」が入る。同社HPでは「全例文でうんこの使用に成功!」と華々しく謳っているので、恐らく快挙なのだろう。
企画と編集は同社の山本周嗣社長自ら手がけた。
「もともとどうやったら勉強が楽しくなるか、ずっと考えていたんです。それでいったん自分の小学生時代を思い出して、小学生男子の目線で考えてみたら、ああ、『うんこ』と『おちんちん』の話が大好きだったな、と」
たしかに私もこの漢字ドリルの存在を知ったとき、まず想い浮かべたのが小学生時代の愛読書の漫画「トイレット博士」だった。小学生だったころは道端に落ちている犬のうんこを棒きれでつついたり、今から考えると信じられないくらいうんこに興味津々だった。
「それで以前からうちから本を出していて、趣味で『うんこ川柳』を作られている映像ディレクターの古屋雄作さんに相談したんです。例文は全部、彼が作ったものです。さすがです」
さすがといって良いのか迷うが、異常な才能の持ち主であることは間違いない。
「とはいってもこれはあくまで漢字ドリルで、ギャグの本ではありません。小学生が勉強できなくては、意味が無い。そこでうちはドリルを作るのは初めてだったので、今まで漢字ドリルを作ったことがあるチームにも編集に加わってもらいました。ちゃんと新学習指導要領にも対応しています」