コンビニやドラッグストアで何気なく手にし、毎日使っている歯ブラシ。その選び方、使い方の“常識”は、実は間違いだらけだった──。自分の歯を守るために、何が必要なのか。昨年、週刊ポストの「やってはいけない歯科治療」シリーズで業界のタブーを暴き、大反響を呼んだジャーナリスト・岩澤倫彦氏がレポートする。
◆硬め、大きめの歯ブラシがいい?
「初めての患者さんを担当する場合、普段使っている歯ブラシを持ってきてもらいます。男性は『硬め』の歯ブラシが多いですね。
それだと、歯の表面や歯茎を傷めて、歯周病や虫歯のリスクを高めてしまうので、『ふつう』か『やわらかめ』に変更してもらいます」
こう話すのは、日本歯周病学会・認定歯科衛生士の長岐祐子氏。柔らかい歯ブラシは、しっかり汚れが落ちない気もするが……。
「歯ブラシの硬さは、市販品と歯科医院用で基準が違います。ブラシの当て方や弾力を生かした磨き方をすると、柔らかめでもバイオフィルム(※注)を除去することは可能です」
【※注/朝起きて歯を触り、ネバネバした膜が覆っていたら、それがバイオフィルム。以前はプラーク(歯垢)と呼ばれていたものと同じと考えていい。その中には歯周病や虫歯などの原因菌が、1g中に約1000億も存在している】
また、男性に多い誤解は、大きなサイズの歯ブラシを選んでいる点だという。
「歯ブラシのサイズ(幅)は、ご自分の前歯2本分に合わせて選ぶのが基本です。歯の大きさは、かなり個人差があって、大き過ぎる歯ブラシを使うと奥歯等に磨き残しが出てしまいます」