最近の刑事ドラマは現職の警察官が観ても「よくできている」と感じるという。それもそのはず、制作の裏側では豊富な知識を持ったプロたちが「警察監修」として携わっているのだ。
警視庁時代、窃盗捜査を専門とする「捜査三課」のエースだった志保澤利一郎氏。退職後、捜査三課を舞台にしたドラマ『確証』(2013年、TBS系)をはじめ、数々の作品で警察監修を担当してきた。殺人事件を扱う捜査一課とはひと味違う、プロならではの心得を聞いた。
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ほとんどの人が色々な部署に行くなか、私は自身の全階級で捜査三課に在籍しました。昇任すると一旦は外に出ますが、また戻る。三課が相手にするのは常習者、窃盗のプロですから、警察も“その道のプロ”を作らなければいけないという意識があったのだと思います。
コロシを扱う捜査一課はすべての事件を組織捜査で進めますが、三課は1人の刑事がホシを追い詰めていく。いわばプロ対プロ、職人対職人の対決で、こうした捜査と取り調べを両方極めるのは三課の刑事だけです。
コロシと窃盗が同時に起きた犯罪については、コロシは一課、窃盗は三課で分担します。ただ、コロシのホシは重罪犯なので、犯人の身柄が一課から動くことはありません。その時は三課から応援に行って一緒に仕事をすることもある。
逆に三課の方がネタを取った場合には三課の事件を優先し、その間に一課が内々に裏付け捜査をして、程良い時期を見計らって引き渡すこともある。『確証』の劇中で、三課の刑事役だった高橋克実さんが一課のチームに加わったシーンは実際にあることです。