合鍵は誰でも簡単に複製できるという事実
《「鍵の盗み見」にご注意を!》。春の新生活シーズンを間近に控えた3月31日、福岡県警が公式ツイッターでこんな呼びかけをした。
鍵を盗み見た第三者が合鍵を作り、犯罪に走る危険性を訴えたものだ。きっかけは、昨年9月、愛媛県松山市で起きた1つの事件だった。同市内の自宅マンションで一人暮らしをする女子大生(20才)が帰宅すると、施錠したはずの玄関のドアが開いており、室内に入ると、見知らぬ男(44才)と鉢合わせた。男はそのまま逃走したが、翌日警察署に出頭し、住居侵入容疑で逮捕された。
問題はその侵入方法だった。男は事件前、マンション管理会社の社員を装って被害者女性の自宅を訪れており、鍵を見せるよう要求していた。
「そこで鍵の番号とメーカーをメモし、後日、インターネット経由で合鍵を作製していたのです。男は同じ手口で他にも7本の合鍵を作製していたことがわかっています」(全国紙記者)
この事件で明らかになったのは、「鍵番号とメーカーさえわかれば、誰でも簡単に合鍵を作ることができる」という衝撃の事実だ。
内閣総理大臣認可を受けた国内唯一の鍵取扱業者団体「日本ロックセキュリティ協同組合」理事長の鈴木祥夫氏が解説する。
「鍵に刻印された番号は鍵の形状や刻みのパターンなどを的確に示す“鍵の個人情報”です。この鍵番号とメーカー名さえわかれば、ほとんどの鍵は現物がなくても合鍵が作製できます。ネットやFAXで合鍵を依頼する場合は、販売店に送る申込書に、鍵の番号とメーカーを記入して送るのが基本です」
申請の際、依頼者が身分証を提示する法的な義務はなく、その鍵がどの住居のものかを記入する必要もないという。
「鍵の番号を知っているということは、それを知り得る管理会社または本人だ、と見なされるからです」(前出・鈴木氏)