小池百合子東京都知事は、2016年の都知事選挙で「東京大改革宣言」というスローガンを掲げて当選した。経営コンサルタントの大前研一氏が、小池と知事が掲げる「大改革」の内容と途中経過について検証し、考察する。
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つまるところ、小池知事が自民党を敵に回して東京をどうしたいのか、ということがよくわからないのだ。
昨夏の都知事選では「東京大改革宣言」というスローガンの下で「都政の透明化」「東京五輪関連予算・運営の適正化」「行財政改革の推進」などの公約を掲げたが、いずれも「大改革」と呼ぶほどのインパクトは感じられない。
すでに東京五輪関連予算については、小池知事が俎上に載せたボート・カヌー、水泳、バレーボールの3会場の見直し問題が元のまま新設することで決着し、事実上、森喜朗東京五輪組織委員会会長の“圧勝”に終わっている。
それに比べると、たとえば石原慎太郎元知事は「横田基地の返還、もしくは民間との共同使用」「中小企業の能力を引き出す新銀行の創設」「ディーゼル車規制によって大気汚染を解消」といった、大がかりな公約を掲げていた。実現しなかった政策や巨額の負債を残した政策ばかりだったとはいえ、石原氏なりの首都・東京の未来像は提示されていた。