「安倍一強」といわれる自民党で派閥大再編の地殻変動が始まった。台風の目と見られているのは麻生太郎・副総理兼財務相だ。
「自民党の中で大きな政策集団が切磋琢磨する方が政治として安定する」
麻生氏は自派パーティ(4月12日)でそうぶちあげて意欲的に派閥合併を推進。甘利グループを吸収して所属議員を44人に拡大し、さらに谷垣グループ、山東派とも合併協議を進め、最終的には岸田派を合わせて名門派閥・宏池会を再結集する「大宏池会」構想を掲げている。
大宏池会(新・麻生派)が実現すれば100人規模となり、安倍首相の出身派閥で議員数最大の細田派(96人)に匹敵する勢力が生まれる。
「大宏池会と細田派の2大派閥から交互に総理・総裁を出すことで、党内で政権交代が可能な仕組みをつくる」というのが麻生構想の骨格だ。安倍首相と麻生副総理による自民党の分割統治体制といってもいい。
しかし、そうした思惑を根底から覆す動きがひそかに進んでいる。かつて「鉄の結束」で政界を動かした「田中派」の復活である。