欧米で拡大しているネット経由の単発請負型経済「ギグ・エコノミー」から、日本は取り残されつつあると経営コンサルタントの大前研一氏はいう。世界での新しい働き方潮流からほど遠い状況にある日本で、どのような教育が望ましいのか、大前氏が解説する。
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安倍晋三政権は「働き方改革」で「同一労働同一賃金の実現」「残業時間の上限規制」「非正規という言葉をなくす」などの旗を掲げている。だが、これらはすべて20世紀の労働形態に対する政策だ。
21世紀のギグ・エコノミーでは、同一労働同一賃金、残業時間、正規雇用・非正規雇用という概念はない。会社に雇われるかどうか、長時間働くかどうかではなく、成果を出せるかどうか、新しい事業を生み出す能力があるかどうかが各個人に問われるのだ。
その現実を知らない安倍政権は、国を挙げて月末の金曜日に早めの退社を促す「プレミアムフライデー」などを提唱したが、的外れも甚だしい。前号で紹介したアメリカのコロラド州やイギリスのエジンバラに移住してネット経由で仕事をしている人たちは、成果さえ出せば、いつどこで何をしていてもかまわないので、いわば「プレミアムエブリデー」なのだ。