たとえ経済規模で抜かれても「どうせ人口が多いだけだろ。科学技術は日本のほうが上」と思っているなら、その中国観からはそろそろ卒業したほうがいい。ロケット打ち上げ成功率は94.5%に達し、日本(91.4%)を上回る。中国車を模倣品と見なす空気は世界から消え、スマートフォンの世界シェアベスト5をみると3位に華為(ファーウェイ)、4位にオッポ、5位にヴィーヴォと中国企業が3社も入っている。
なぜ中国の科学技術はここまで伸びたのか。科学技術振興機構の元中国総合研究センター長・馬場錬成氏は「国の支援」を挙げる。
「中国は1995年から『科教興国(科学技術の振興と教育の充実で国を豊かにする)』を最重要政策に掲げ、2014年の研究開発費は約38兆円と日本の倍もつぎ込んでいます」
日本人から見れば中国人の“パクリ体質”は疎ましく映るが、意外なことにそれを評価する声がある。
「中国との合弁会社で中国人と一緒に働いた経験のある日本人からは『中国人は技術を真似するだけでなく、なぜそうするのかをよく学び吸収する』と感心する声をたびたび耳にします。
高度成長期の日本も、松下電器産業(現パナソニック)が“マネシタ”と呼ばれたように他社の製品を模倣した時期がありました。真似することが一概に悪いことではない。むしろ、技術向上の一端を担っていることは事実です」(ITジャーナリストの新田ヒカル氏)
とはいえ、もはや日本に勝ち目なしかというと、そんなことはない。日本が巻き返すには、まず「長所」を伸ばすことだと経済ジャーナリストの福田俊之氏が指摘する。