古今東西、政治に「公平さ」が失われると国は乱れる。安倍晋三首相のお友達である学校経営者に国から特別の便宜が与えられた森友・加計学園問題が深刻なのは、国民に政治・行政が公平に行なわれていないという疑念を抱かせ、政治への信頼を失わせたことにある。「この国をダメにした政治家」の1番手にあげられるのは、安倍「エコヒイキ政治」を助長させた政治家たちだろう──。
加計学園には多くの安倍側近政治家が群がった。同学園の事務長から献金斡旋を受けていた下村博文・元文科相、落選中に同学園から給料をもらっていた萩生田光一・前官房副長官、加藤勝信・厚労相も加計孝太郎・理事長が後援会幹部という関係にある。そうしたズブズブの関係が獣医学部新設の温床になったのではないか。
疑惑封じに動いた政治家の責任も重い。菅義偉・官房長官は疑惑の発端となった文科省文書を「怪文書」と決めつけ、告発者の前川喜平・前文科事務次官を名指しで批判、山本幸三・前規制改革相、松野博一・前文科相や山本有二・前農水相らは国会で加計学園への獣医学部新設は正当だと言い張った。
疑惑隠しで“論功行賞”にありついた政治家も忘れてはならない。国会証人喚問で前川前次官追及の先頭に立った小野寺五典氏は内閣改造で防衛大臣に抜擢、同じく西村康稔氏は官房副長官に起用された。
彼らの行動は、「国民の代弁者」ではなく、明らかに安倍首相の顔色をうかがうものだった。
「忖度政治」が危険なのは、取り巻き政治家が首相の機嫌を取ろうとするあまり、平気で権力の濫用に走ることだ。安倍政権の大臣、副大臣からは権力を笠に着た発言が相次いだ。