臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、お騒がせ女性議員たちの総選挙に向けた覚悟を読み解く。
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10月22日に投票が予定されている衆院選、希望の党代表の小池都知事の出馬はなかったものの、女性候補者は戦後最多の209名にのぼる。そんな中、今回注目したのはお騒がせ議員たちの出陣式だ。
先月、年下の弁護士との不倫疑惑が報じられ、民進党を離党した山尾志桜里氏は、愛知7区から無所属で出馬。「山尾=青」と「首相と青い服で戦っているイメージがある」と、以前、自らを印象付ける色を話していたのだが、この日選んだのは白のジャケットに白のインナー、青のたすき。
ここ一番の時に選ぶ色には意味がある。真夏日となったこの日、白を選んだ理由を「暑そうなので」と笑顔で答えていたが、連想するのはやっぱり“みそぎ”。白は汚れを払い、清めるイメージが強い。
きしめん店に入った時、隣の男性が「まずくなる、帰る」と席を立ったと明かした山尾氏。彼女の不倫疑惑にマイナス感情を持っている有権者は、やはりいる。
「そういう風に思われる方もいる」と、あるインタビューで一瞬、目を閉じながら苦笑いしたが、思い出すとマイナス感情がわきあがってくるのだろう。目を閉じて、そんな感情をシャットアウトした山尾氏。「恥じることはない」と言いながらも、有権者からは厳しい声が飛んでくる選挙活動。「終わりよければすべてよし」という言葉があるが、最後に与えた印象が悪ければ、それまでの活動は評価されにくくなる。
人は過去の経験を最良、最悪に関わらずピーク時にどうだったかと終了時にどう終わったかで判断する。行動経済学者のダニエル・カーネマンが発表した「ピーク・エンドの法則」だ。
民進党幹事長内定から急転直下、不倫疑惑で離党することとなった山尾議員。まさにピークからエンド。開いた謝罪会見では離党理由がよくわからず、去り際の印象はかなり悪い。ピーク・エンドの法則でいえば、終わりの悪い印象のほうが有権者の判断を左右するから、厳しい声が飛んでくるのは当然だろう。
だからこそ出陣式のこの日、ピーク・エンドの法則をリセットするため、彼女は青ではなく、クリーンな道徳観を連想させる白を着たのだろう。白は清潔や潔白のイメージが強く、人は清潔さと道徳観を結びつけやすいからだ。