画像共有SNSのInstagram(インスタグラム)の、日本の月間アクティブユーザー数が2000万人を突破した。2016年12月には1600万人だったので、わずか10か月で400万人も拡大したことになる。20~30代の女性が多数を占めるインスタグラムだが、最近になって40代や男性ユーザーも増加している。インスタグラム参加への動機には、フェイスブックのわずらわしさに嫌気がさしていることもあるらしい。
「Facebook(フェイスブック)がどんどん面倒になっていくので、若い子たちがインスタグラムにうつっていく気持ちがわかりますよ」
友人と、そのまた友人によるタイムライン上のやりとりにうんざりしていると、洋一さん(47歳・団体職員)はため息交じりに話す。
「フェイスブックの趣味のグループに参加しています。そこでは、興味があるニュースや動画をシェアしてコメントしあって楽しんできたのですが、突然『勝手に動画を投稿しないでください』と強い口調で書き込んできた人がいました。みんな意味が分からなくて、どうしたんですか? と質問するのですが怒りの書き込みをするばかりで要領をえない。忍耐強い人のおかげで解決したのですが、そういったことがたびたび起きるので、フェイスブックでやりとりすることそのものが面倒になってきてしまいました」
要領をえない怒りの書き込みに対し、忍耐強く何に困っているのか、どう解消したいのかを聞き出した人のおかげで、そのときの問題は解決した。自分もメンバーになっているグループへの投稿がタイムラインに表示されることを、他人が勝手に自分のスペースに動画を表示させたと思い込んでいたのだ。ここまでは、慣れない人にとっては仕方ないと思えた。しかし、その後のふるまいが洋一さんをうんざりさせた。
「使い方をよく調べなかったことと、勘違いが重なって困っていただけなのに、解決に導いてくれた人に御礼も言わない。それどころか、その後も似たような騒ぎを起こす。グループに加わってきたとき『定年になったばかりです。一年生の気持ちで日々、勉強です』と自己紹介していたんですけど、ちっとも学ばない。しかも、文字でも伝わる高圧的な態度なんです。その人の投稿みるのが嫌だというのもあって、フェイスブックそのものが面倒になってきました」
同じような面倒くささを感じたのは、洋一さんだけではない。ワインの試飲会を開く友人たちと連絡をとりやすくするためにフェイスブックを始めた直子さん(38歳・会社員)も、最近はフェイスブックではメッセンジャーしか利用していない。
「お客さんからの友だち申請を断り切れずに承認して、しばらくは平気だったんです。その方が、定年になって嘱託勤務になり、時間ができたらしくフェイスブックを頻繁に更新するようになってからが面倒の始まり。私の名前がタグ付けされたワインの会の写真がアップされると『直子さん、毎日楽しそうですね』『お酒ばかり飲んではいけませんよ、直子さん』と名指しのコメントを必ずつけるんです。タグを外してもらっても、わざわざ探してコメントを残してゆく。そのたびに『いえいえ、そんなことないです』『久しぶりだったんですよ』といちいち返信していましたが、もう疲れました」
近ごろは、フェイスブックをまったく更新せず、友人の投稿にも反応せず、まるでログインしていないかのように振る舞っている。
洋一さんや直子さんのように、フェイスブックに疲れてしまった人の少なくない人たちが、代わりにインスタグラムを眺める時間を増やしている。