なぜ、米政府はこのタイミングでの「公開」に踏み切ったのか。1963年11月22日、テキサス州ダラスを訪問中に暗殺されたジョン・F・ケネディ大統領。50年以上も非公開とされてきたCIA(米中央情報局)やFBI(米連邦捜査局)の捜査資料など2800点が10月26日、公開された(CIAなどが公開延期を求めた一部文書の公表は見送られた)。
「米政府は事件直後に逮捕された元海兵隊員のリー・ハーヴェイ・オズワルド容疑者による『単独犯』と結論づけています。ただ、オズワルドが移送中に多くの警察官の目の前で殺害されるなど、不可解な点が数多くあり、米国では単独犯説を信じる人のほうが少ない」(在米ジャーナリスト)
そのため10月21日にトランプ大統領がツイッターで〈JFKファイルの公開を認める〉と表明すると、大きな話題を呼んだ。
ケネディ暗殺については、対キューバ政策を巡って対立していたCIAの関与や、リンドン・ジョンソン副大統領(当時)、米国内のマフィア組織、ソ連の諜報機関KGBなどが「黒幕」とする説が囁かれてきた。
今回の資料公開で最大のポイントとされるのが「オズワルドの事件直前のメキシコ訪問」の真相が明らかになるかだ。
「1963年9月にオズワルドはメキシコのソ連大使館、キューバ大使館を訪れたことが明らかになっているが、その目的が何だったのか、CIAがそれを把握しながら放置したのではないか、といった謎が残されている。米CNNなどでも資料公開に先立ってメキシコ訪問の経緯が明らかになる可能性に言及している」(同前)