毎回、20%前後の高視聴率を記録しているNHK連続テレビ小説『わろてんか』。ヒロイン役の葵わかなだけではなく、松坂桃李、高橋一生、濱田岳ら注目俳優が出演しているが、コラムニストのペリー荻野さんが「陰の功労者」と注目するのは女中・おトキを演じる徳永えりだ。ペリーさんが徳永の演技について解説する。
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そんなわけで、『わろてんか』は、寄席経営に乗り出したてん(葵わかな)と藤吉(松阪桃李)の祝言、第一子誕生、姑北村啄子(鈴木京香)の渡米とめまぐるしく物語が進んでいる。事業を成功させてキラキラする伊能(高橋一生)やここ一番で助けに来る風太(濱田岳)など、これまでヒロインを思う男たちに注目が集まりがちだったが、ちょっと待て。この物語の陰の功労者にして、演技派はおトキ(徳永えり)ではなかったか?
もともとてんの実家藤岡屋で、てん付の女中だったトキは、よく気がつくしっかり者。てんが藤吉の許嫁候補楓(岡本玲)と、古米や外米を売る「商い勝負」をすることになった際にも、トキの言葉をヒントにてんは古米で団子、外米でカレー作りを顧客に提案。見事、勝利したのだった。そしてトキは、「おてんさまのため」と藤岡屋を辞めて、寄席のお茶子に。ここでも「お客の座布団を一回り小さく」とか「塩辛い物を売って飲み物の売り上げ向上」というアイディアを出す。やるね、おトキ!
おトキがいいのは、奉公人として控えるところは控えながら卑屈にはならず、自分の意見を持って明るさがあること。そのさじ加減が、徳永えりはとてもうまい。
実は今シーズン、NHKには、もうひとりの演技派「お嬢様付き女中」がいる。BS時代劇『赤ひげ』のお杉(大後寿々花)だ。お杉の仕事は、頑固医者の赤ひげ(船越英一郎)が代表を務める小石川養生所に特別に建てられた格子付の部屋で暮らすお嬢様おゆみの世話をすること。心を病むおゆみは、店の男をふたりも殺し、養生所の新米医者保本(中村蒼)も殺しかけた深刻な状況なのだ。おゆみの実家から世話のすべてを任されたお杉は、実母が亡くなった日もひたすらおゆみの世話をする。