税制改正に怒りを覚える理由は、徴税の手法だけでなく「使われ方」への不満と不信がある。安倍政権下では、国民から集めた血税が首相の“お友達”に利益をもたらすという構図が厳しく批判されている。いわゆる「モリカケ問題」はその象徴だったが、またしても似た構図の疑惑が浮上した。
12月5日、助成金詐欺の疑いでスーパーコンピューター開発会社「ペジーコンピューティング(以下、ペジコン)」の社長・齊藤元章容疑者(49)らが、東京地検特捜部に逮捕された。
経産省が所管する新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は技術革新に取り組むベンチャー企業への助成事業を行なっているが、ペジコンもその対象となっていた。
「2013年度に高性能メモリーの開発事業で上限5億円の助成金が決定。ペジコンは約6800万円を先払いで受け取り、2014年2月に約7億7300万円の経費がかかったとする実績報告書を提出し、4億3100万円を受領した。だが、その実績報告書が虚偽だったと見られている」(捜査関係者)
最終的にペジコンが受け取ったのは約4億9900万円。“水増し請求”によって、上限5億円をほぼ満額手にしたことになる。
この事件はただの詐欺事件で終わらない可能性がある。経営者が「政権に近い」と見られているからだ。元経産官僚でかつてNEDOの担当課長だった古賀茂明氏が言う。
「政府機関が助成金を審査する場合、注意するのは対象企業の実績や能力の他、政権との距離です。ベンチャー企業でありながら多額の助成金を得ているペジコンは、政権と近いことは有名でした。その点は当然考慮されたはずです」