「一帯一路」に沿うように増え続ける中国の“占領地”。軍事覇権、経済覇権を求めて世界中に進出する中国の意図はどこにあるのか。笹川平和財団上席研究員の小原凡司氏はこう解説する。
「『一帯一路』のもとになった考えは北京大学の王緝思教授が2012年に唱えた『西進』、すなわち、東に進出して経済・軍事の両面で米国と衝突するのを避け、西に進出して中国内陸部の経済発展までを目指そうとする戦略です。
かつてトウ小平氏は改革開放の基本原則とした『先富論』で、沿岸部が豊かになれば内陸部も発展すると考えたが、実際にはうまくいかなかった。そこで新疆(ウイグル自治区)等を内陸部のハブと位置づけ、中央アジアや中東方面への中継地として開発しています」
中国が43年間租借したパキスタンのグワダル港では新疆のカシュガルと結ぶ道路や鉄道が計画されているほか、石油パイプラインなどが建設されている。同時に新疆からは中央アジア、中東へと物流・交通網が計画されている。
さらに海側ルートでは、要衝・マラッカ海峡を経てギリシャのピレウス港へと至るルート上にある港湾をいくつも抑えている。
「海側のポイントは、やはりマラッカ海峡。中国は、いざとなれば米国はマラッカ海峡を封鎖すると考えています。その代替ルートとして、中国にはタイのクラ地峡に運河を建設する構想が10数年前からありますが、タイ政府の反対で実現していません」(小原氏)