貴乃花親方と八角理事長(元横綱・北勝海)による骨肉闘争は2月2日の理事選で一応の決着を見たが、執行部が真っ先に「造反者」の炙りだしに動くのは間違いない。そうした“裏切り者探し”の先にあるのが、壮絶な「報復人事」である。
「理事長ポストに就くと人事権を握れる。これまでも貴乃花一門で中心的な役割を果たす阿武松親方(元関脇・益荒雄)や立浪親方(元小結・旭豊)は本場所で入場券のモギリの仕事などに回されていた。今回でいえば、昨年末に時津風一門から離脱して貴乃花支援に回った錣山親方(元関脇・寺尾)、湊親方(元前頭・湊富士)、立田川親方(元小結・豊真将)が冷遇されるのは間違いない。湊親方は、今は本場所での“花形”とされる審判部所属ですが、3人揃って八百長を監視する監察委員や、指導普及部か社会貢献部で警備担当や用具係に左遷だろう」(前出の担当記者)
貴乃花サイドで理事に当選した親方たちも、同様に冷遇されると考えられる。理事の「職務分掌」も理事長側が差配することになる。
「同じ理事でも協会ナンバー2の『事業部長』であれば、年3回の東京開催場所の運営を取り仕切る大きな権限を持つ。それに対して『相撲教習所担当』は閑職です。(2010年理事選における)“貴の乱”で初めて理事となった貴乃花親方もあてがわれた役職で現体制では、貴乃花グループの山響親方(元前頭・巌雄)が担当しています。今回も貴乃花側の理事が担当することになるだろう」(前出のベテラン記者)
加えて「大阪場所担当」も貴乃花サイドの理事に回ってくるのが濃厚だという。「本来、地方場所担当はチケット販売や当地での業者選定など、金銭的なうまみがあるとされるが、大阪担当には違う意味がある。『3月開催』なので年末から多忙を極め、頻繁に大阪入りをしなければならない。そうなると2年に一度、初場所後にある理事選のタイミングで、票の取りまとめに動くのが難しくなる。執行部側は、今回の理事選が全面衝突になったことから、『2年後の理事選に向けた貴乃花グループ潰し』の布石を今のうちから打ってくることになる。それほどまでに対立は決定的だ」(同前)