「蒸し暑くて寝苦しい」など、気温や湿度のせいで安眠できない人も多いだろう。とりわけこれから夏にかけては、その調節が快眠の大きな鍵を握る。睡眠障害に詳しい雨晴クリニック副院長の坪田聡医師が語る。
「睡眠時には、手足から熱が放散され体温が下がります。このとき、代謝が落ちることで脳に“休息モード”のスイッチに入り、眠りが訪れるのです。しかし気温が高いと、体温が下がりにくいため、うまく寝つくことができません」
体温を下げるためには、首や腋の下など太い血管が通る場所に氷嚢を当てるのが効果的だ。なかでも最も快眠効果が得られる部位は「前頭部」だという。『睡眠メソッド100』の著者で睡眠環境を改善してきた快眠セラピストの三橋美穂氏の話。
「米ピッツバーグ大学が2011年に発表した不眠症患者を対象とした研究によれば、前頭部を冷やして睡眠を取ると、入眠時間が平均で13分短くなり、健康な人とほぼ同程度まで改善できたと報告されています」
ただし、ただ体を冷やせばいいというわけではない。
「いったん下がった体温は、目覚める頃になると上昇していきます。この時に体を冷やしすぎていると、体や頭がしっかりと覚醒せず、だるさを感じたりしてしまう。夜、体を冷やそうとして足を布団から出して寝ていると、朝、血行不良で足がつることもあるのです」(同前)