中高年の健康の大敵は「糖質」と「塩分」だと言われて久しい。近年は食事の際に米を抜く「糖質制限」や「減塩」こそが健康長寿に不可欠とされてきた。しかし、そんな定説を覆す研究結果がNHKスペシャルで紹介され、議論を呼んでいる。
「糖質こそが人間の活動で最も重要なエネルギー源です。それを制限することは、深刻な病気リスクの高まりを意味します」
そう語ったのは、米シモンズ大学教授のテレサ・ファン博士。ハーバード公衆衛生大学院でも非常勤教授を務める彼女の研究は、11月24日に放送されたNHKスペシャル『食の起源 第1集「ご飯」』で紹介されて大きな反響を呼んだ。
同番組は「食の起源」をテーマにしたシリーズの第1回で〈ご飯は健康長寿の敵か? 味方か?〉との問いかけとともに、日本人の主食である「白米」の有効性に迫った。
長年日本の食卓の“主役”にあった白米だが、近年はダイエットブームもあり、「炭水化物抜きダイエット」や「糖質制限」を実践する人が増加した。
Nスぺでは、石器時代まで遡って白米の主成分である糖質の功績を紹介。200万年前に人類が火を使って木の実の調理を始めたことで多くの糖質が体内に入るようになり、そのエネルギーで人間の脳が巨大化し、知性が向上したことを「第一の食革命」と伝えた。
さらに1万年前、日本人の祖先がコメを主食に選んだことで、糖質、たんぱく質、食物繊維などの栄養素を効率的に摂取できるようになったことを「第二の食革命」と紹介した。