「今後、歌舞伎役者を安心して続けられるのはごくごく限られた一部の人気役者だけです。歌舞伎の興行は松竹がほぼ独占的に行っています。歌舞伎の舞台にあがるには松竹が指定する公演に必ず出なければならず、そうなると稽古の時間も相当に割かなければならない。一般的な知名度の低い役者が歌舞伎以外の仕事で生計を立てようとしても難しい話なのです。このままでは脱落者が続出して歌舞伎の舞台が成り立たないかもしれない。
情けない話ですが、歌舞伎界の未来は、屋号を背負う、人気役者の肩にかかっているのです」(前出・歌舞伎関係者)
一方、今回の減給は松竹にとっても、苦渋の決断だった。
「松竹はこれまで、外から見ると手厚すぎると思えるほど、役者に給与を支払ってきました。役者都合の休みの間の給与を支払ったり、病気で舞台に立てない役者にも何年も給与を支払ったりしてきた。
歌舞伎に対しても30を超える屋号それぞれに多額の給与を支払ってきた。そうした待遇が、コロナ禍で仇となった。赤字が続けば、役者どころか歌舞伎という文化そのものが失われる結果につながりかねない」(映画業界関係者)
秋になってもすんなり納涼とはいかないようだ。
※女性セブン2022年9月15日号