とはいえ、『どうする家康』の「あほたあけ」は、「あほ」というオプションもついて、相手にバカなことを言うなとたしなめたり、にらんだりする際に、これからも出てくるはず。今川氏真(溝端淳平)は人質の数が合わないと「三河者というのは算術もできぬらしい」と言っていたが、「あほたあけ」から漂う地方色、三河者たちの人間味は、これからの家康、三河出身ではない瀬名の人生にも深く関わってくると思う。
なお、過去には、1987年の『独眼竜政宗』の「梵天丸もかくありたい」(梵天丸は主人公の幼名)や1988年『武田信玄』でナレーションを担当した信玄(中井貴一)の母(若尾文子)の締めくくりの言葉「今宵はここまでにいたしとうござりまする」、2002年『利家とまつ~加賀百万石物語』の無口な信長(反町隆史)の「で、あるか」など、大河ドラマから流行語が生まれた例はある。「あほたあけ」もこのドラマを盛り上げた言葉として、記憶されるのは間違いないだろう。