2012年4月に開業予定の東京スカイツリーを望む新しい街景色の中、8月28日に30回目の開催を迎えた浅草サンバカーニバル(東京・浅草)。沿道には50万人が集まり、4500人のダンサーたちの踊りに熱狂した。
今回、優勝を飾ったのは、25回目の出場となる老舗チームの「エスコーラ・ヂ・サンバ・サウーヂ」。
準備に丸1年を費やし、この日のためにすべてを捧げる踊り子たち。「サウーヂ」で花形役であるパシスタ(ソロダンサー)を務めた市川ゆりさんは、衣装の羽根飾りだけで約20万円を費やしたと語る。
「衣装はとても大がかりですから、慣れていない人だと着替えに1時間かかることもあるんです。メークにも1時間かけて本番に臨みますが、45分の踊りが終わった後には飾りなどで体中が傷だらけになってしまうんですよ」(市川さん)
美しい踊りの陰に、人知れぬ秘話あり。こうして、夏の風物詩は歴史を紡いでいく。
撮影■丹羽敏通、山崎力夫、渡辺利博
※週刊ポスト2010年9月17日号