探偵たちの「不倫現場の押さえ方」が進化している。「絶対に許さない」…妻から探偵会社の分厚い報告書を突きつけられ、夫は下を向くしかない。ジャーナリストの沢野竜一氏が、恐るべき探偵の調査力をレポートする。
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まず探偵の調査で思い浮かぶのは尾行だ。探偵業35年のベテラン、東京経営調査(東京)の高橋新治社長が手の内を明かす。
「通常は2人1組で行ないますが、調査対象者の職場が、東京・丸の内のオフィスビルのように複数の出口があるビルだったりすると、5~6人、3チームで張り込むこともあります。徒歩だけでなく、場合によっては車とバイクの2台で追走する。車が気づかれることがあっても、バイクは案外ノーマークで気づかれにくいですね」
尾行に欠かせないのが変装道具。といっても特殊な道具ではなく、印象を変えるための着替えが中心だ。高橋社長が続ける。
「たとえばゴルフ場まで尾行した時にスーツ姿では怪しまれる。逆にオフィス街でラフな服装では浮いてしまう。風景に溶け込むことが大事なので、様々な着替えを用意します」
尾行開始から終了まで調査対象者の全行動を、漏らさず秒単位で記録している探偵もいるというから驚きだ。探偵歴20年の平松直哉・平松総合調査事務所代表(大阪)は自信たっぷりに、こう言う。
「うちは尾行中はすべてノンストップで撮影しています。マークする対象者がラブホテルに入ってから出てくるまで、延々18時間ビデオカメラを回し続けたこともありました。ここまで徹底的にやると、相手は絶対言い逃れできませんね」
カメラは年々小型化し、性能も向上。盗撮事件の報道などでご存じかもしれないが、現在は1ミリメートルの穴さえあれば撮影可能であり、カバンに開けた小さな穴から、あるいはペン型のカメラなどで対象者にまったく気づかれずに撮影することができる。
「小さい」だけではない。プロが使うカメラは素人の想像を絶する恐るべき性能を備えている。平松代表が解説する。
「当事務所の撮影車両には超高感度カメラなどを10台以上搭載、使用するレンズも100本以上用意しています。180万円の赤外線大口径レンズを使えば、闇夜でも500メートル離れた橋の欄干のボルトまで映し出せます。また暗い河原などでのカーセックスは、900メートル程離れた対岸からでも十分監視できます」
こんな「最新兵器」で不倫を暴かれたら、「この写真は俺じゃない」といった言い逃れはできない。
※SAPIO2010年12月15日号