ロンドン五輪の出場権を順当に獲得した「なでしこジャパン」。キャプテンの澤穂希選手が多くの注目を集めるが、「なでしこ」は実に個性豊かな女性たちの集団である。ここでは、注目の新刊『なでしこジャパン栄光への軌跡 世界一のあきらめない心』を上梓したスポーツライターの江橋よしのり氏が、“おしゃれ番長”こと川澄奈穂美選手(INAC神戸レオネッサ)のエピソードを紹介する。
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超過密日程の五輪予選で5試合すべてに先発出場した川澄選手が、連日メディアから大人気です。もし今「なでしこジャパン選抜総選挙」を行なったとしたら、彼女は間違いなくセンター獲得でしょうね。そういえば、川澄選手はサッカーのポジションもセンター・フォワードですね。
9月23日になでしこリーグが再開し、INAC神戸は千葉市のフクダ電子アリーナでジェフ千葉レディースと対戦。しかもこの日は、川澄選手の誕生日でもあります。
そこで、ぜひ川澄選手のユニフォームの着こなしに注目してみてください。ポイントはソックスです。日本代表ではソックスを膝の下で折り返して履いていますが、INAC神戸では上部を折り返さず、「ニーハイ」の状態で太ももまで引き上げて赤いソックスを履くんです。
男子の元フランス代表・アンリ選手がかつてこの履き方をしてましたけれど、かわいさでは川澄選手が断然上です。“おしゃれ番長”の川澄選手が、ピッチ上での着こなしにも女性らしさを提案してくれれば、女子サッカーは今以上に女の子の憧れの対象となり、また女子サッカーをますます応援したくなる男性ファンもきっと増えるのではないでしょうか。
最後に彼女のサッカープレーヤーとしての話を。小柄な体躯とあどけないマスクからは意外かもしれませんが川澄選手は、なでしこの中でも断トツのスタミナの持ち主です。代表合宿では定期的に体力測定を実施しますが、スピード&スタミナを計測するテストでは常にぶっちぎりの数字を記録しています。
チームメイトがバタバタとギブアップする中、ただひとりニコニコしながら平然と走り続ける姿は、まるでスポーツ漫画のヒーローのようでした。その川澄選手の体力を「高速で長持ち」と私が表現すると、元なでしこジャパンの荒川恵理子選手は「じゃあ、川澄は電池ってことで(笑)」とつぶやいていました。私は妙に納得してしまいました(笑)。
撮影■金子悟