待ち合わせは、夏の薫りが残る葉山。ここは女優・三津谷葉子にとって、“かけがえのない場所”だ。
「街よりも、自然が性に合うみたい。葉山では素の自分に戻れるんです。音楽を流して海岸線を走って、カフェでおいしいごはんを食べる、それだけで癒されて幸せ」
10代からグラビアアイドルとして脚光を浴びて常に世間の評価に晒されるなか、いつしか素になることも忘れてしまっていた。
「本当はインドア派でのんびり過ごすことが好きなのに、“クラブで毎晩踊ってそう”みたいな派手なイメージがあるらしくて(笑い)。だけど自分を演じることに窮屈さを感じながら、私自身がそこにしがみついていたんですよね」
気付けば、27歳になっていた。
「『もうすぐ30歳かぁ』と考えた時、強烈に『これからは自分のために生きたい』って。もう無理はしなくてもいい。私の信念を貫いても、もういいんじゃないか。27歳にして、初めて思ったんです」
そんな心境で挑んだのが、5年ぶりの写真集『27+3』(ワニブックス刊)。ヌード初披露ということもあり、大きな衝撃が走った。
「よく“決意のヌード”といわれますが(笑い)、元々裸は求められていませんでした。ただ自分が『変わりたい』と願う時に、過去と同じことをしたら後悔をするだろうな、と。守ってきたものを思うと、簡単ではなかったですよ。それでも、自ら新しいことに挑戦してみたかった。今は誰に何をいわれようとも、胸を張って『いいものができました!』と、いえます」
写真のセレクトなど編集作業にも携わったことで、モノ作りに対するプロ意識を触発されたという。お気に入りはモノクロームの写真。「モノクロは嘘がつけない。今の私が透けてみえる感じが好き」と話す姿は、殻を破れた自信の表われなのかもしれない。
やっと肩の力が抜けたと、柔らかい表情をみせる。今どんな3年後を思い描いているのだろうか。
「中身がしっかり備わった、凛とした女性でありたいです。私だけの“何か”を輝かせたい。30歳には結婚もしたいですよねぇ。出産は、33歳の予定。でも、まずはお相手を探さないと(苦笑)。同世代のグラビア仲間がどんどん結婚して、正直ちょっと焦っています」
お年頃の女心をのぞかせ、婚活宣言も。今はとにかく多くの芸術に触れ、感性を磨いて成長していきたいと語る。30歳になった彼女にはどんな色彩が添えられているのか、とても楽しみだ――。
【プロフィール】
みつや・ようこ●1984年11月8日生まれ。東京都出身。ホリプロスカウトキャラバンで優秀賞を受賞し芸能界デビュー。グラビアを中心に活動し、15歳の時にVisual Queen of the Year 2000に選ばれる。その後、女優としても活躍。『東京大学物語』『紀子の食卓』ほか様々の映画やドラマに出演している。写真集『27+3』はワニブックスより発売中。公式ブログはhttp://ameblo.jp/yoko-mitsuya
撮影■佐藤佑一
撮影協力■葉山『夕凪亭』
※週刊ポスト2012年9月7日号