「北京空港に降りたって気になったのは、マスク姿の人の多さよりも、マスクそのものでした」と話すのは現地で撮影したカメラマン。
いま中国の大気汚染は、生命を脅かすほどの危険水域に達している。現地のアメリカ大使館の測定によると、肺がんの原因になる微小粒子状物質(PM)の数値が国際基準の3倍に達し、一時は測定不能になったという。
この事態に北京当局は、外出制限令を発動し、市内の学校では屋外での運動を禁止と、まさにパニック状態に陥っている。で、このマスク姿である。
汚れた空気にしかめっ面の顔を隠すかのように、マスクには微笑むパンダやブタ、安らかな顔のクマなどがあしらわれている。中年のおじさんはミッキーマウス柄で茶目っ気を演出し、若い女性はナイキのマスクでスタイリッシュに決める(どちらも本物かは不明)。
大気汚染がひどい日には半分近い人がマスクをするという北京。マスクでお洒落を楽しむのがせめてもの救いなのかもしれない。
撮影■太田真三
※週刊ポスト2013年2月1日号