国内

今でしょ先生「大学生の学力低下、東大京大も例外じゃない」

「いつやるか?今でしょ!」の林修先生が東大・京大の差を語る

「いつやるか? 今でしょ!」でお馴染みの東進ハイスクール現代文講師、林修氏。東大を目指すコースを中心に、予備校生から圧倒的な支持を得ている人気講師だ。トヨタのCMに出演後は、金スマ(TBS)にも登場するなど、昨今はメディアの注目も集める。20年以上、学生を見続けてきた話題のカリスマ講師に、昨今の若者や受験事情について聞いた。

 * * *
――長年、若者を見てきて、変わってきたなと思う点はありますか。

林:予備校に通う時点で、学生全体のほんの一部ですよね。僕が見ている光景がすべてではない、という自覚を常に持たなければいけないと思っています。ですから、僕が見えている範囲で、という前提の上で言わせていただくと、やはり変化はある。特に、男子にはもっと元気になってほしいですね。

 僕が授業をしている東大コースで言うと、だいたい東大に行こうっていう時点で、既成の権威に頼っていると思うんですよ。もともと東大生は保守的で、これは僕のときもそうでした。安全志向、安定志向で、早めに人生の貯金をつくって逃げ切ろうと。競馬で言えば、先行逃げ切り型ばっかり。僕みたいに、いったん後方に下げて、そこから一気に勝負しようなんていう博打派はほとんどいなかった。こうした傾向が、最近ますます強くなってきたと感じますね。だから今の学生は、ものすごく勉強しますよ。

――では、学力は上がっているんでしょうか?

林:平均でいうと、明らかに落ちています。理由は単純で、少子化で学生の人数は減っているのに、大学の定員はそれほど減っていないから。だから東大でも、下のほうはかなり厳しく、大学側も危機感を持っているようです。ただ、上位10~20%は変わっていませんね。びっくりするくらい優秀な生徒は確実にいます。もうすぐ国立大学の二次試験ですけど、「俺、どう計算しても落ちようがない」とまで言う東大理III受験者もいますね。(笑)

――東大でも学力低下が問題になっているんですね。最近一部で、東大と京大の就職差が話題になりましたが、学力的にはいかがでしょうか。

林:受験勉強面だけで言えば、特に文系では、今や完全に京大は東大の下ですね。関西のおもろいヤツが京大に行くとか、そういう個性の面での違いはもちろんあると思いますけどね。

 差が付いた原因はいろいろ考えられます。一つは、受験においても、東京一極集中が加速していることですね。情報化が進み、移動も便利になるなかで、東京だけが突出してしまった。僕は年200日ほど出張して、いろいろな地域を見て、それを実感しています。そんななか、京都の洛南高校とか奈良の東大寺学園とか、以前は京大合格者の人数を増やそうとしていた関西の名門校も、東大へシフトチェンジしています。

 それから、一橋大学が上がっていることもありますね。これも東京一極集中が背景にあって、東工大なんかも上がっています。で、相対的に京大が下がっている。

 もう一つ大きいのは、今の若者は、国立の医学部志望がものすごく多いんです。安定志向だから。

――つまり、医学部に行けば、将来、安泰だと。

林:食いっぱくれはないだろうと。例えば、一昔前なら京大の理学部に行っていたような子が、いまは大阪大学の医学部に行くんです。それで国立大の医学部に、優秀な人材が集中するようになった。一方、技術立国日本を支えてきたような理系の学部に、なかなか人材がいかない。国立の医学部に、のきなみ人材が吸い尽くされて、他大学が低下している。これは大問題だと思いますよ。

――なぜ若者たちはそんなにも保守化しているのでしょうか。

林:やはり、将来への不安が根本にあると思います。経済の先行きが暗いというのは、世の中のあらゆる面に悪影響を与えるんです。僕はバブル世代で、あのころは、一度失敗したって何とかなるさって思えました。しかし今は、先が読めない時代。若者が自分を守ろうとするのは、仕方のないことなのかもしれません。あれだけテレビでブレイクしているスギちゃんやキンタロー。でさえ、近い将来への不安を吐露しますよね。ああいう人が不安だったら、誰が自信を持てるんですかって。

 でも、これは、我々の責任なんです。若者に希望を与えるのが我々大人の仕事ですから、我々の力不足。少しでも、なんとかしなければと思っているんですけど。

――先生もブレイク中ですが、不安はありますか?

林:僕は、今だけでしょう。でも、本業はしっかりやっていますから、不安はあまりないですね。ちなみに授業では「年末まで誰が残るでしょう。1.スギちゃん、2.キンタロー。 3.オレっ」って言っています(笑)。

関連キーワード

関連記事

トピックス

日本人女性が“路上で寝ている動画”が海外メディアで物議を醸している(YouTubeより、現在チャンネルは停止されています)
《日本人女性の“泥酔路上寝”動画》成人向け課金制サイトにも投稿が…「モデルさんを雇って撮影された“仕込み”なのでは」「非常に巧妙」海外拡散を視野か
NEWSポストセブン
清潔さには外国人が驚くという新幹線のトイレ
新幹線トイレの汚物抜き取り現場のリアル 遅延が許されない“緊迫の30分間”を完遂させるスゴワザ一部始終
NEWSポストセブン
被害者の「最上あい」こと佐藤愛里さん(左)と、高野健一容疑者の中学時代の卒業アルバム写真
〈リアルな“貢ぎ履歴”と“経済的困窮”〉「8万円弱の給与を即日引き落とし。口座残高が442円に」女性ライバー“最上あい”を刺殺した高野健一容疑者(42)の通帳記録…動機と関連か【高田馬場・刺殺】
NEWSポストセブン
《歌舞伎町・大久保公園》ガードレールの一部を撤去も終わらない「立ちんぼ」と警察のいたちごっこ「ほとんどがホストにお金をつぎ込んで困窮した人たち」
《歌舞伎町・大久保公園》ガードレールの一部を撤去も終わらない「立ちんぼ」と警察のいたちごっこ「ほとんどがホストにお金をつぎ込んで困窮した人たち」
NEWSポストセブン
新生timeleszは社会現象に
菊池風磨のシンガーソングライター父、YouTuberとして本格始動 親子共演は「簡単じゃないかも…」、目標は「ファンと共に仲間と共に日本武道館です!」
女性セブン
2021年に渡米以降、1度も帰国していない
《新生活》小室圭さんと「ゆったりすぎるコート姿」眞子さん、「住宅リフォーム」特化の大型ホームセンターで吟味していたもの
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
〈50まんでおけ?〉高野容疑者が女性ライバー“最上あい”さんに「尽くした理由」、最上さんが夜の街で吐露した「シンママの本音」と「複雑な過去」【高田馬場刺殺事件】
NEWSポストセブン
ご結婚のハードルが下がりつつある愛子さま(2024年10月、佐賀県。撮影/JMPA)
愛子さま“生涯皇族”としての将来に光明 皇族数確保に関する会議で政府関係者が「女性皇族の夫に御用地での同居と皇宮警察による警備を認める」の見解を示す
女性セブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さんが刺傷され亡くなった。送検される高野健一容疑者(左・時事通信フォト)(右が佐藤さん、Xより)
〈シンママとして経済的に困窮か〉女性ライバー “最上あい”さん(22)、高野容疑者(42)と出会った頃の「生活事情」 供述した“借金251万円”の裁判資料で判明した「2人の関係」【高田馬場・刺殺事件】
NEWSポストセブン
角田信朗が再婚していた
格闘家・角田信朗が再婚していた!「本当の意味でのパートナーに出会えた」「入籍はケジメです」お相手は23歳年下の“女将さん”
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・最上あいさんが刺傷され亡くなった(左・Xより)
〈オレも愛里なしじゃ生きていけない〉高田馬場刺殺事件・人気ライバー“最上あい”さん(22)と高野健一容疑者の“親密LINE”《裁判資料にあったスクリーンショット》
NEWSポストセブン
体調不良を理由に休養することになったダウンタウンの浜田雅功
《働きづめだった浜田雅功》限界だと見かねた周囲からの“強制”で休養決断か「松本人志が活動再開したときに、フル回転で働きたいからこそ」いましかないタイミング
女性セブン