2009年頃から盛り上がりを見せている「婚活ブーム」。雑誌やテレビはこぞって婚活の話題をとり上げ、男女ともに堂々と結婚願望を公に口にしやすくなった。とはいえあれから晩婚化が改善したという話は聞かない。果たして、婚活ブームで幸せになれた人は増えたのだろうか。「婚活の日(5月2日)」を記念日登録した結婚相手紹介サービス、サンマリエ・広報課の守田佳代さんに話を聞いた。
「婚活ブームで一番変わったのは、女性の意識です。男性は以前から積極的に活動をされる会員様が多かったのですが、女性は内気な方がほとんど。パーティにお誘いするときも、私どもからお電話を差し上げてやっと……という感じだったのですが、ブーム以降は参加者が急増しましたね」
サンマリエの資料によれば、現在、結婚相手紹介サービス事業者の総数は3700~3900社にのぼる。しかし、事業者数=選択肢、というメリットばかりではない。「いざ婚活をしようと思ったとき、よくわからずに“出会い系”まがいのところに入ってしまう方が少なくありません。そこで残念な思いをされて、弊社に相談に見える方もいらっしゃいます」(守田さん)
“結婚相手紹介サービス業”は大きく分けて3種類ある。まず1つ目は「お見合い型」。小規模な事業者が多く、仲人や担当者がお見合いをセッティングする。2つ目は「データマッチング型」。大手の結婚相手紹介サービスはほぼこれで、あらかじめ登録したデータを元に事業者が仲介を行なうが、それ以降は会員同士に任される。3つ目が「インターネット型」。会員がインターネットで自主的に検索・申し込みをし、やりとりをする。
サンマリエの場合、2年前にデータマッチング型からお見合い型のサービスに移行している。会員からの「もっと関わって欲しい」という要望を受けた形だというが、会員数1万人以上のいわゆる“大手”では例を見ない業態変換だったという。とにかく人手がかかるためだ。「当時は、他社からも『どうやったらそんなことができるの?』と聞かれたくらいです(笑)」(守田さん)
お見合い型に移行するため、サンマリエは従来の「アドバイザー」に加え、「コンセイラー」という職種を新たに設置。入会までをアドバイザーが、入会後をコンセイラーが徹底的にサポートする体制をとった。同社アドバイザーの梅本雅子さんは、お見合い型に移行した際のある会員の言葉が心に残っているという。
「会員の方から『確かにスペックは合ってるけどなんでこの人なの、と思うことが多かったけど、最近はぴったりの方を紹介してくれますね』といわれたのです。結婚生活が始まってからは、データ上のことってあまり関係ないんですよね。それよりも、感覚や価値観が合う、合わないといったことを重視するようにしています」(梅本さん)
サンマリエでは、紹介された人と結婚する会員は、女性の場合1人目がトップ。男性は3人目で結婚に至る人が多い。また、交際が始まった会員のうち、3か月以内に結婚を決めた人は51.3%にものぼるという(同社成婚者統計より。2012年10月19日~2013年4月8日。表参照)
2010年国立社会保障・人口問題研究所・第14回出生動向基本調査結果によると、結婚相手紹介サービスを利用せずに交際が始まるカップルの結婚に至るまでの平均期間は、約4年半。結婚相手紹介サービスを利用した場合と、大きな差があることがわかる。
サンマリエのボリュームゾーンは、男女ともに35~39歳だ。会員のうち、男性は4分の1、女性は3分の1弱がこの年齢に属する。では一般的に、この年代が結婚できる可能性は高いのだろうか。国勢調査に基づく未婚率の推移と比べてみたい。
平成17年の国勢調査では、35~39歳男性の未婚率は30.9%だった。5年後の平成22年、40~44歳の未婚率を見ると27.9%。平成17年に未婚者だった男性のうち、9.7%しか結婚していないことになる【(30.9-27.9)÷30.9=0.097×100で計算】。同じ計算式にのっとれば、女性は10.8%だ。
かたや、サンマリエでは交際が始まって1人目で結婚するケースも多く、51.3%が3か月以内に結婚を決めているというから驚きだ。
「出会いがなかっただけ、チャンスがなかっただけ……と思う方は、まずはご両親や人脈の広い友人に相談するなどの方法もあります。身近な人になかなか相談できない時には私たちのようなプロに相談していただければと思います」(守田さん)
結婚相手紹介サービスのプロがまず勧めるのは、意外にも古典的な「両親や友達の紹介」。お見合い型のサービスは、確かに頼もしい。が、自分をよく知る両親や友達ならデータマッチングどころか、感性のマッチングも申し分ないはずだ。コンセイラーは、意外と身近にもいるかもしれない。