「頂いたクラブで始めたんですが、何度ラウンドしてもスコアは120台。だんだん気持ちが萎えてきて、もう3年近くやっていなかったんです……」とは話すものの、「また、ゴルフを始めてみようかな……」と思案する井上和香さんが訪れたのは、東京・銀座にある『PRGR・GINZA』。
量販店でのクラブ診断はあくまでもヘッドスピードによる分類だが、クラブ選びはさらなる進化を遂げている──。PRGRらゴルフメーカーが直営店などで、より詳細なデータを分析し、最適なヘッドとシャフトを組み合わせ、自分だけに合った“オンリーワン”なクラブを提供する時代が到来したのだ。PRGRが導入するのは、スイング解析システム「サイエンスフィット」。
「ゴルファーのスイングを立体的に測定。そのデータをもとにPRGR公認のフィッターが最適のクラブ選びをしたうえで、レッスンを行なうというシステムです」(横浜ゴム広報部)
インパクト時のヘッドの動きを3Dアニメーションで再現する「ヘッド挙動測定器」、グリップエンドの位置を測定してスイングプレーンを再現する「磁気センサースイング測定器」などを用いてスイングを総合的に診断。今回、彼女はクラブ軌道がややアッパーブローで、インサイドから入っていることが判明した。
「スイングは理想的で、男女のプロのスイング軌道に多いグループに分類できます。ただ、スイング軌道が8度インサイドから入っているのに対し、インパクトの瞬間のクラブフェースが18度。
スイング軌道はいいが、当たる瞬間に10度開くクセがある。そのためボールが右に飛び出しやすくなる。返りやすいヘッドを使い、グリップをストロングに握ることで、十分に修正できます」(PRGR公認フィッター・宮本優氏)
ヘッドとシャフトの組み合わせ約100種類の中から選ばれたのは、手元から全体がしなるシャフトと、返りやすいヘッド。こうして、彼女にとって最適ドライバーが誕生したのである。
「自分がどのようにボールを打っているのかが、驚くほどよくわかりました。科学の目で最適クラブを選んで頂いたって感じで、ゴルフ熱がまた高まりそうです(笑い)」(井上さん)
撮影■藤岡雅樹
※週刊ポスト2013年7月19・26日号