加齢臭はおじいちゃんのニオイだから自分にはまだ先のこと。そう思っていたのに家族や友人から「クサイ」と言われる30、40代の男性が少なくない。ひと回り以上年下の妻・月(ゆえ)さんとの日常を描いた『中国嫁日記』作者の井上純一さんも、同様の体験をした一人だ。42歳のとき、脱いだ服を手にした月さんから「なんか臭くナタヨ」と言われ、加齢臭がするようになってしまったのかと絶望的な気分になった。
「オタクなので、自分が臭いことは認識していました(笑)。しかし、それは『汗臭い』とか『息が臭い』というものであり、月の言う『腐ったような匂い』だとは思ってもいませんでした。だから、コミケへ行くときに制汗剤を使う対策をする程度だったんです。加齢臭なんてまだ先のことだと思っていたので、なおさらショックでした」
その後、偶然、ラジオ番組で「耳の後ろを丁寧に洗うと臭いが消える」と話しているのを聞いた井上さんはボディソープで念入りに洗い始めた。しばらくして月さんに「最近臭いナイネ」と言われ、いまも丁寧に洗うことを続けている。
井上さんは加齢臭対策を応用し効果を得たが、実際の原因は加齢臭ではない可能性が高い。というのも、加齢臭は「ノネナール」という物質が原因で発生する枯れた草のような臭いで、月さんが指摘した「腐ったような臭い」とは違う。30~40代に多い使い古した脂のような臭いの理由は長らく不明だったが、「ジアセチル」が原因成分であると男性用化粧品の製造・販売で知られるマンダムが11月18日に発表した。
男性の体臭は年齢とともに変化する。10代から30代半ばごろまでは、ワキの臭いを中心とした汗臭いニオイがする。30代半ばから50代半ばのミドル世代は、皮膚に常在するブドウ球菌が汗中の乳酸を代謝し前出のジアセチルが発生、脂臭さがたちのぼる。以降の年代はノネナールが産生され加齢臭が強くなる。30~40代のミドル男性は汗臭さも残しつつ、50代が近づくにつれ加齢臭も加わり、生涯で最も体臭の要素が多いお年頃だ。