オルフェーヴルのラストランとして注目の集まる今年の有馬記念。所属の池江厩舎からは、オルフェ以外にも4頭の馬が出走することも話題になっている。
「G1の同一厩舎5頭出しは史上最多タイのようですが、有馬記念では過去に記憶にありません。恐らく初めての出来事でしょう」(競馬関係者)
実は池江厩舎は、昨年の有馬記念にも3頭を出走させるなど(オーシャンブルーが2着)、実力馬を多く抱えている。リーディングトレーナー争いの常連でもあり、今年のレースで獲得した総賞金は約12億円にも上るいわば“勝ち組”。
だが、このような成功例はほんの一部で、多くの厩舎の経営は苦しいともいわれる。
「JRAでは、2004年から成績によって厩舎の馬房の増減がなされるメリット制という制度が導入されました。これ以降、厩舎間の格差は拡大。成績の良い厩舎に強い馬が集まる傾向が強くなり、小さな厩舎には馬が集まらず、馬房数を満たせないケースも見られるほどです」(競馬記者)
実際、今年のG1レースだけを見ても、池江、角居、安田隆など、有名厩舎所属の馬が上位を占めていて、あたかも勝ち組の固定化が進んでいるようにも見える。
厩舎の主な収入は、馬主の預託料(カイバ代)とレース成績に応じた競走賞金。これに出走手当なども加わるが、いずれにせよ所属馬が少なくては経営が上向かないというわけだ。また、格差の生まれる背景に個人馬主の衰退をあげる向きもある。
「以前はタニマチ的な付き合いをしてくれる個人馬主の方が多くいて、経済的な援助をしてくれることもよくあった。レースの成績をうるさく言うこともなく、長い目でオーナーという立場を楽しんでくれたものです。ところが、いまは共同馬主が多くなり、オーナーの顔も見えづらい。人間関係よりも、勝てるかどうかばかりが重視されています。ジョッキーにしても育てる発想はなく、即戦力の乗り役を起用したがる。競馬界全体が目先の1勝に一喜一憂する傾向にありますね」(厩舎関係者)