流行語大賞を持ちだすまでもなく、今年はひときわドラマが注目を集めた年だった。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が独自の視点で総括する。
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いよいよ2013年の幕も閉じる頃、ドラマ好きの端くれとして、今年後半のドラマを振り返ってみたいと思います。題して「ジャニーズ主演ドラマ格付け」。
火曜日の錦戸亮、木曜日の草なぎ剛、金曜日の長瀬智也、土曜日の亀梨和也、日曜日の木村拓哉……。見回すと、ジャニーズだらけのキャスティング。「最初に人気者ありきの配役。それにあわせてのドラマ作りだから面白くなくなるのだ」という批判意見も聞かれる昨今。でも、ジャニーズだからダメだとか、良いとか、そういう問題ではないはず。ドラマの出来とは、演じる人の能力だけで決まるものでもない。
主演する役者と、ストーリー・脚本、演出する監督の存在。いくつものかけあわせの中から、作品は出来上っていきます。 ということで、様々なかけあわせ具合を「ものさし」にして星を付けてみると……。
★1つ星 『安堂ロイド~A.I. knows LOVE?~』
役者としての器用さと能力は、十分高く評価されているキムタク。しかし残念ながら今回の安堂ロイドは、陳腐なモチーフの二番煎じSFストーリーと、ドラマそのものに恵まれず。ポイントとなるべき「純愛」という筋も、狙い通りには際立たず。キムタクとは最強の取り合わせであるはずの柴咲コウも活かせず。熱心なキムタクファンですら「見たくないドラマ。でも視聴率のために我慢して見る」とまで言わしめたために、星1つ。
★★2つ星 『東京バンドワゴン~下町大家族物語』
主演の亀梨和也は、スポーツニュースでもレポーターとして大活躍中。野球の取材現場で見せるイキイキとした質問、的確なレポート。スポーツ報道から開眼したかと思わせる成長ぶり。それがこのドラマの中でも光っていました。自己主張しすぎず、落ち着いた温かい人物像を演じきれていた。役者として今後ますます伸びそうな気配が。にもかかわらず、ドラマ世界は薄っぺらくて押しつけがましく、細部の詰めが甘く、玉置浩二の存在が目立ちすぎ。成長する亀梨くんを活かしきれなかったので、残念ながら星2つ。
★★★☆3つ星半 『クロコーチ』
役作りにあっぱれな力を発揮した長瀬智也。クセのある刑事役を演じる工夫が見事。「は~い、せ~いか~い」と、独特な口調が耳について離れない「長瀬節」を生んだ。TOKIOだけでなく個性的な役者としても活躍してきたマルチタレントの彼ですが、今回、社会派ドラマという新しい局面に挑戦した意欲を評価したい。ストーリーも3億円事件をモチーフとしていて緊張感があったのですが、後半は筋立てが単調になりモタモタしたきらいがあったため、星3つ半。