ビジネス

「美女と軍艦」ブーム 戦車の擬女化は昔のドイツでもあった

萌えミリタリー専門雑誌の草分け「MC☆あくしず」

 兵器の美少女擬人化。「艦隊これくしょん~艦これ~」のブームにより、突如多くの人の目に触れることとなった異色のコラボレーションは、どのようにして生まれたのか。萌えミリタリー専門雑誌『MC☆あくしず』副編集長の浅井太輔氏に、その起源と発展について聞いた。
* * *
――兵器や武器をかわいい女の子に擬人化するというのは最近の現象なのでしょうか?

浅井太輔(以下、浅井):兵器を女の子に擬人化するというのは、かなり昔からある発想です。たとえば、第二次世界大戦中のドイツ軍によるティーガー戦車の公式教本「Tigerfibel」をみると、セクシーな女性のイラストがたくさん出てきます。ティーガー戦車を女性に擬人化して、女性に対するのと同じように優しく誠意をもって扱えば、女性と婚約できるように戦車とも上手く付き合えると説明しています。

 太平洋戦争前の日本でも、ミリタリーとは少し違いますが豪華客船を擬人化したポスターが残っています。日本郵船が1940 年の新田丸、八幡丸、春日丸の処女航海にあわせて、美しい着物姿の三姉妹を船にみたてたものです。これらの客船は、のちに空母に改造されました。

――これは本当の擬人化で艦これのように美少女にメカを付けたような形状ではないですね。

浅井:メカ擬人化のはしりと思われるものとしては、1980 年代に「機動戦士ガンダム」のモビルスーツを擬人化したMS 少女というものがありました。1990 年代になると模型雑誌「モデルグラフィックス」誌に艦船を擬人化したイラストが載るようになります。インターネットが普及した2000 年代ごろからは、ネット上でのイラストのやり取りが多くなります。とはいえ、まだ同好の士が絵を見せ合って楽しむ程度のものでした。

 その後、MS少女などの影響を受けた世代が第一線で活躍し始めたことで、機械と美少女をあわせたメカ少女や擬人化が商業物にも登場するようになりました。アニメ「ストライクウィッチーズ」の原作、「スカイガールズ」や「ガールズ&パンツァー」のキャラクターデザインも担当しているイラストレーターの島田フミカネさんが代表的ですね。

――商業物では、兵器の擬人化、とくに美少女とのつながりはどのように表現されていったのでしょうか?

浅井:擬人化ではありませんが、萌えミリタリーアニメなどを振り返ると分かりやすいです。2003 年には女の子が戦闘機に乗り隕石を迎撃する「ストラトス・フォー」、2006 年には女の子が戦闘機のようなパワードスーツに身を包んで戦う「スカイガールズ」、女性乗組員が護衛艦で海賊と戦う「タクティカルロア」が制作されました。「タクティカルロア」は海上自衛隊が協力したことでも話題になりました。

 さらにシューティングゲームではスクール水着に似たコスチュームを着たメカ少女が戦う「トリガーハート エグゼリカ」がリリースされています。ただ、ここまでは近未来を舞台としたSFテイストの萌えミリタリーものが多かったですね。同じ2006年には弊社で萌えミリタリー雑誌「MC☆あくしず」が創刊されています。

 そして2008 年に「ストライクウィッチーズ」というアニメがヒットします。登場する美少女たちは第二次世界大戦のエースパイロットを彷彿とさせる設定で、当時の戦闘機のようなパーツを装備し、セクシーな格好で謎の敵と戦うストーリーでした。このアニメが大ヒットしたことによって、第二次世界大戦をそのままモデルにした作品でも違和感なく受け入れられるという証明もされました。

関連キーワード

関連記事

トピックス

元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(写真は2019年)
《体調不良で「薬コンプリート!」投稿》広末涼子の不審な動きに「服用中のクスリが影響した可能性は…」専門家が解説
NEWSポストセブン
いい意味での“普通さ”が魅力の今田美桜 (C)NHK 連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合) 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
朝ドラ『あんぱん』ヒロイン役の今田美桜、母校の校長が明かした「オーラなき中学時代」 同郷の橋本環奈、浜崎あゆみ、酒井法子と異なる“普通さ”
週刊ポスト
現役時代とは大違いの状況に(左から元鶴竜、元白鵬/時事通信フォト)
元鶴竜、“先達の親方衆の扱いが丁寧”と協会内の評価が急上昇、一方の元白鵬は部屋閉鎖…モンゴル出身横綱、引退後の逆転劇
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”川崎春花がついに「5週連続欠場」ツアーの広報担当「ブライトナー業務」の去就にも注目集まる「就任インタビュー撮影には不参加」
NEWSポストセブン
広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
広末涼子、「勾留が長引く」可能性 取り調べ中に興奮状態で「自傷ほのめかす発言があった」との情報も 捜査関係者は「釈放でリスクも」と懸念
NEWSポストセブン
筑波大の入学式に臨まれる悠仁さま(時事通信フォト)
【筑波大入学の悠仁さま】通学ルートの高速道路下に「八潮市道路陥没」下水道管が通っていた 専門家の見解は
NEWSポストセブン
広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
《事故前にも奇行》広末涼子容疑者、同乗した“自称マネージャー”が運転しなかった謎…奈良からおよそ約450キロの道のり「撮影の帰り道だった可能性」
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン