既存店の客数、売上高ともにマイナス続きで、2期連続となる減収減益が避けられそうにない日本マクドナルドホールディングス。「若者のマック離れ」も囁かれる中、今年は反転攻勢を誓い、早くも積極的に新商品を投入している。
1月7日より期間限定の第一弾で発売しているのが、“古き良き時代の米国”をテーマにしたハンバーガーである。
2枚重ねのビーフを豪快にサンドした「ダイナーダブルビーフ」と、大振りのチキンとベーコンを使った「ダイナーハニーマスタード」(各370~410円)。それぞれアメリカ仕込みのステーキソースやハニーマスタードソースをかけているのが特徴だ。
さらに、従来のフライドポテトには、温めたチーズソースやベーコンフレーバーのトッピングを加えて食べる「クラシックフライチーズ」(340~370円)を新発売。アメリカのスタンドやスタジアムにあるCheese Fryをイメージした商品だという。
「アメリカンヴィンテージ」を打ち出したキャンペーンとはいえ、マックがここまで米国流にこだわるのはなぜなのか。
「昨年8月に社長兼CEOに抜擢されたサラ・カサノバ氏は、出身地のカナダのほか、シンガポールやマレーシア、ロシアなど世界6か国のマクドナルドでマーケティング職に就いてきた。
これまで日本のマックは独自の商品開発やオペレーションで成功してきたが、それが通じなくなった今、米国本社の意向を受けたカサノバ氏がグローバル経営で立て直しを急いでいる」(経済誌記者)
だが、こうしたマックの路線転換が日本の消費者に受け入れられるかどうかは不透明だ。フードコンサルタントでバーガー研究家の肩書きも持つ白根智彦氏がいう。
「確かに具材を変えずにボリューム感を出したり、ソースやトッピングの種類を増やして客単価を上げたりするのは米国のファストフード業界の発想です。日本のマックで昨年末から販売している『てりやきバーガー』や『フィレオフィッシュ』の2枚重ねもそうした米国流の経営スタイルに基づいているのかもしれません。
しかし、味の変化やコストパフォーマンスに敏感な日本人にとって、商品そのものの質を刷新していかない限り、目先の話題性だけで飽きられてしまう可能性があります。ただでさえコンビニがイートインスペースで店内調理のハンバーガーといれたてコーヒーを出す時代。ますますマックに行く理由がなくなってしまいます」