2014年はアメリカの中間選挙が行なわれる年であり、2期目のオバマ政権に有権者が審判を下す。
国際政治ジャーナリストの落合信彦氏はアメリカで日本以上に政治不信が高まっていると指摘する。それを受けて世界はどう変化し、日本人はどう意識を変えるべきなのか。以下、落合氏の解説だ。
* * *
新しい年を迎えても日本を取り巻く国際情勢には明るい話題がない。中国が防空識別圏の設定など傍若無人な振る舞いを繰り返し、韓国が反日の姿勢を崩さない。政敵や反体制派を容赦なく弾圧するロシアのプーチンのような指導者も力を増してきた。そして政敵や邪魔者を簡単に処刑してしまう北朝鮮。今日の日本は価値観をまったく共有できない隣人に取り囲まれている。
そうした中で日本人が特に認識すべきは、2014年には「アメリカの凋落」がはっきりと浮かび上がるという点だ。アメリカが乱暴な隣人たちから日本を守ってくれるという考え方は通用しなくなる。原因はアメリカ大統領のバラク・オバマにある。
米ギャラップ社の最新の世論調査では就任当初7割を誇っていたオバマの支持率は41%まで下がってしまった。数字を詳細に分析していくと、「オバマを支えていた層」の離反が目立つ。18~29歳の若者の支持率は75%から48%へ、女性では69%から45%に下がった。
この1年間だけで見るとヒスパニック(77%→54%)、年収2万4000ドル未満の低所得者層(64%→49%)といったグループで数字が軒並み急落している。今も9割近くが支持を続ける黒人層を除けば、支持者たちの心がオバマから急速に離れていることがわかる。この流れは今年さらに加速するだろう。
今年は中間選挙が行なわれる。4年の大統領任期の中間地点で政権が有権者に採点されるわけだが、オバマの民主党が勝利するのはかなり難しい。ただし、相対する共和党の大勝も考えにくい。
昨年10月にはオバマと下院共和党が激しく対立し、予算が成立せずに政府機関の一部が閉鎖される事態を招いた。これについてアメリカの有権者の反応は冷ややかだった。
党利党略によって税金を払った自分たちがサービスを受けられなくなったと認識している。政府機関閉鎖が解除された後に共和党の支持率は下がり、その代わり大統領と共和党の「どちらも支持できない」とする層が大幅に増えたのである。
対抗勢力がこの体たらくではオバマの振る舞いが大きく変わることは期待できない。アメリカ国民が政治に失望し、大統領が求心力を失う。国際社会における影響力もどんどん低下していくことになる。