阪神は、FA移籍した久保康友の人的補償として横浜DeNAから正捕手の鶴岡一成(36)を獲得。そのため、DeNAでは、高卒3年目の捕手・高城俊人がレギュラー候補に浮上している。
高城は、九州国際大学付属高校2年時のセンバツ甲子園で主軸としてチームの準優勝に貢献。甲子園通算打率5割9分1厘という高打率を残し、2011年秋のドラフト会議でDeNAから2位指名を受け入団。1年目から45試合に出場し、将来を嘱望されている捕手だ。
昨季、中畑清監督は2年目となった高城を開幕スタメンに抜擢。開幕10試合中9試合でスタメンマスクを被った。その後は、鶴岡との併用となったが、三浦大輔や藤井秀悟といった経験豊富なベテランとバッテリーを組ませることで、“英才教育”を施していった。しかし、打率は1割台前半と低迷し、前半戦限りで二軍落ち。期待に沿える働きはできなかった。
鶴岡不在の今年は、3年目を迎える高城の成長が、DeNAの躍進にとって不可欠となるわけだが、一般的に高卒捕手がレギュラーの座を奪うまでに、どれほどの時間がかかるものだろうか。
昨年、12球団で“正妻”と呼べる100試合以上出場した捕手は10人。そのうち、高城と同じ高卒捕手は4人いる。
今年から選手兼任監督となる谷繁元信(横浜→中日)は1年目から80試合出場するなど出番は多かったが、正捕手獲得までには至らず。常時スタメンを張るようになったのは、5年目の1993年(114試合出場)からだ。
高卒新人捕手で開幕スタメンという鮮烈デビューを飾った炭谷銀仁朗(西武)もルーキーイヤーから試合には出ていたが、レギュラー獲得は4年目。昨年、正捕手を奪い取り、オールスター出場も果たした伊藤光(オリックス)は5年目だった。人的補償で阪神へ移籍する鶴岡一成は、2番手捕手の時代が長く、一昨年の17年目にしてようやく正捕手の座についている。
過去の高卒の名捕手はどうか。V9巨人の扇の要となった森昌彦(のちに祇晶に改名)は5年目に105試合に出場し、長年巨人のホームベース守り続けた藤尾茂を退けた。1980年代から1990年代初頭にかけて日本ハムを支えた田村藤夫は4年目に初出場。レギュラー獲得には8年を要している。
ヤクルト低迷期を支えた八重樫幸雄は三塁コンバートなど紆余曲折を経ながら、15年目にして正捕手(124試合出場)になっている。4年目に開花した中村武志(中日など)、香川伸行(南海)は捕手としては早い成長だった。